2021年03月30日

ボンベレスダイブ110

(高架橋の上)

高速道路の上を横断する高架橋でモクモクと立ち昇る黒煙を見つめている一人の男。

その後、男はきょろきょろと辺りを見回し、誰にも見られていなかったことを確かめると腕に抱えていたライフルをケースに慎重に収め終えたのだった。

「へへ。ざまあみろ。」

男は何やらそう言うとポケットから携帯電話を取り出しある所へ向け電話をかけ始めた。

「もしもし、兄貴?あっ俺っす。はい。はい。そうです。運転手とガキ達は今、始末しました。だからもう大丈夫っす。誰かに目撃されてねえかってことですか?ご安心を。それは抜かりなくやりましたから。ん?大丈夫っすよ。間違えてません。あの会社のトラックは五百m先からでも、よ~く俺には目立ちますから。この岡崎市でもよく見かけるトラックなんで見間違えることなんて絶対ありません。むしろ見慣れているから安心っす。それにガキたち2人が助手席に座っていたのを俺はちゃんとこの目で見ましたから。確かにあのトラックに間違いなかったっす。間違えるなんてこと絶対の絶対、神に誓ってありません。はい。そうですね。完璧っす。今、そのトラックは五十m先で炎上してますんで。よう燃えとりますわ。ここに居てもその熱気が伝わってきて、ものすげえ熱さを感じるっす。ありゃ運転手もガキ達も命は、絶対ありませんぜ。何?目を離すなよって?だから大丈夫ですって。心配症だな。兄貴も。俺を少しは信用してくださいよ。はい、はい。それはもう絶対大丈夫です。兄貴の足がつくことは絶対にありませんから。へっへっ。ここまで仕上げたら、あとはアイツをうまく始末するだけですね。これが終われば一件落着ってことで。そうなったら俺たちだけで祝杯あげましょうよ。はい。はい。わかりました。あがっす。ん?今の言葉ですか?ありがとうって意味っす。そんなあ~ふざけてませんよ。兄貴のため思って、俺はここまでしてきたんじゃねえですかい。兄貴が不安に思うようなことは一切ありませんから。何度も言うけど俺を信じてくださいよ。もう電話切ってもいいっすか?次、しなくちゃいけないことがありますんで。えっ?何かって?やだなあ~兄貴、そんなこともわからねえんですかい。あとはアイツを始末するため、最後の仕上げに俺は行かなくちゃいけないんっすから。忙しいっすんよ。俺だって。じゃあ、今から俺は日間賀島に向かいますんで。はい。わかりました。はい。じゃあ、失礼します。」

男は、そう言うとポケットに無造作に携帯電話をしまいこんだ。

「チッ!!チキン野郎が。あれでおいらの兄貴分かよ。貫禄ゼロだな。俺の前で兄貴ズラするんだったら、もっとどっしり構えてろってんだ。臆病者めが。」

もう一度、男は事故現場へと目を向けてみる。メラメラと立ち上る炎が辺り一面を焦がして、とても手の付けられない状態にまできている。その状況を見るや何やら男はウキウキし出し、にやりと唇の両端を釣り上げて笑ったのである。笑った先にある奥歯には、きらりと光った金歯がしっかりと顔をのぞかせ、これから起こりうるであろう出来事の不気味さを暗示するように漂わせていたのだった。

 

 

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2021年03月27日

ボンベレスダイブ109

外れたタイヤは踊り狂ったようにバウンドを繰り返し中央分離帯へと衝突していく。更に衝突したことにより、中央分離帯が踏み台になって空中高く舞い上がりながらタイヤは対向車線へと躍り出ていた。

運悪くその先を走行していた車のフロントガラスにタイヤが突き刺さるように当たってしまうと一瞬のうちにガラスを粉々にしていた。その後、外れたタイヤは何もなかったかのように車内へともぐりこんでしまっていた。あまりの衝撃に重心を失った車は右へ左へと衝突を繰り返し派手にスピンした挙句、コマのように2、3回回ったところで停まっていた。これが対向車線での一部始終である。

一方では僕達が乗車していたトラックはというと完全に道を塞ぐ形で停車していた。いつまでも脱輪したホイールがカラカラカラと音をたてて空回りを繰り返していた。

ようやく収まったアクシデント。つかの間の静寂である。

誰もが、もうこれで終了したのかと思った瞬間でもあった。

キィキィキィキィーーーン!ガッシャーーーーン!

その直後、凄まじい摩擦音と衝突音。かなり離れた所にいた後続車から、モクモクと煙って前方の視界がゼロの中、急に起きた大惨事に対応できず、急ハンドル、急ブレーキをした後、次々とスピンしながら猛スピードでトラックに向けて突進していった。

ドスン

キィーーーーーン

ガシャーーン

何台もの後続車が玉突き衝突することとなった。

車同士の衝突による炎上は免れなくなっていた。耳をつんざくような物凄い爆発音。巻き上がる黒煙。次から次へと後続から来る車の追突によりその広がりがクレージーに増していった。待ち構えていましたと言わんばかりの静と動の競演。段々と死者の数が増える形となっていた。まさに現場は地獄絵図と化している。

何かが弾け飛び散ったかと思ったら、やがて雨が降るように降ってきていた。

なんだろう?粘着性?黒い?そう、それはガソリンの雨だった。

 

 

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2021年03月23日

ボンベレスダイブ108

 

「うるせえ~。おれの勝手だ。お前らにとやかく言われたかねえ。いいかぁ~。そもそもだなぁ~・・・」このからみ具合からして、かなり植村は泥酔しているのが見て取れる。

僕はお粗末すぎて呆れた素振りをしようとしたまさにその時だった。植村が話し始めようとした次の瞬間、ピシっと鈍い破砕音と共に前方にあったフロントガラスが一瞬にしてバリバリと音をたてて砕けていったのである。

バキューン何かが暴発する音が立て続けに2回遠くで聞こえた気がした。

一瞬、何が何だかさっぱり訳がわからなかった。和樹が突然フロントガラスが割れたことにビックリして飛び起きていた。

気になって植村を見る。その状況を見るや僕は青ざめることとなる。植村はハンドルにもたれかかっていたのだ。

「おじさん。どうしたの?大丈夫?」

揺すってみた。ハンドルが少しではあるが左に旋回して植村の体は僕たちの膝の上にのしかかってくる形となった。「おも~い。」突然あまりの重圧感に思わず僕は押しのけてみるしかなかった。丸太ん棒を転がすように前に崩れていった植村を見て余りの変わりように僕は心臓がとび出そうなほど驚いた。「うわぁぁぁ~~」

それを見た和樹が、驚倒するほどの悲鳴にも似た声を発していた。

余りの驚きによって僕たちは素早く座席から立ち上がった。

「し、死んでる・・・」

植村は、右のこめかみを銃で撃たれて死んでいた。これを境に事態は急変する。

運転手のいないトラックは突然左に進路を移し、左車線に移ってもなお左、左と走行していった。このままでは、ガードレールにぶちあたることになる。

「あぶないぃ。」

ガシャーン!

僕の叫び声と同時にトラックは左側にあったガードレールを無理なくなぎ倒すようにぶつかって行った。ガードレールは酷くたわむ形でトラックを受け止める。

すさまじい衝撃が前輪の角度を変え、トラックを右斜め前方へと前進させて行く。バランスを崩した鉄の塊は完全に進むべき方向を見失い運転手共々酩酊状態となっていた。このまま行けば中央分離帯へ突き刺さることになる。しかし重心が定まっていないまま急に右に方向転換したことにより遠心力がついたトラックは、右側車輪が完全に浮き上がってしまいウィリー走行となっていた。そして左の車輪が支点となって車体全体を反時計回りに回る形となり進路方向へ横転して行ったのである。

ガシャーン!ガシャーン!ギギギギギーーーーーーィ!

その後、五、六m横すべりをする形となる。激しく絡むタイヤの摩擦音。破損した部分がむき出しとなりそれがアスファルトを削って派手に火花を散らしていた。右後方に取り付けてあった外側に面したタイヤが勢いよく飛び跳ねて外れていったのである。

 

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2021年03月23日

ボンベレスダイブ107

 

ん?地震かな?目覚めた時、そう感じた。ここは、どこ?激しく回転するトルク音。濁った音を奏で、派手に振動しているエンジン音。ようやく事情がつかめた。そうだ、ここはトラックの中だ。今の時刻は?えっと・・・詳しい時刻はわからないが太陽の位置からして、どうやら昼時らしい。それにしても車内の揺れは尋常ではない。

体を起こし、車外を見てみる。愛知県という表示板が一瞬ではあるが見えた気がした。しかしこの速度、普通では考えられない。中央分離帯を埋め尽くす一本一本の木々が、車の後方へ消し飛んでいくように目に映る。ガタガタガタ トラックが分解しそうなほどのオトマトぺがそれを物語る。

左の走行車線を走っている車を見れば短時間の間に次から次へと車を追い抜きごぼう抜きしているのがみてとれる。今、何キロ出ているのだろうか?そっと、スピードメーターを見てみる。なるほど、百五十km。どうりで速いはずだ・・・

えっ~ひゃく、ひゃくごじゅうぅ~~~~ぅ!!!??

僕は、一瞬目を疑った。横には空のビール缶がいくつも転がっている。信じられないほどの数のビールの空き缶だった。それを見ると僕の脇の下は、じっとりと汗をかいていた。

隣の和樹を見てみる。

グーグー気持ちよさそうに眠っている。よくこの振動の中、眠ることが出来るものだ。

あきれる以外、考えられない。

植村を注意したいが注意できない、お世話になっているこの状況。この男、完全にメートルが上がっちまってる。亡くなってしまった弟のことがよほどショックなのだろう。僕もこの隣にいる和樹が死ぬようなことにでもなったらどうなるか想像もつかない。

注意したら、きっとこのトラックをつまみ出される事への計画不履行が、僕の肩に重くのしかかる。でもやっぱりそんなこと、よくない。こんなことを許していたら、植村のこれからのためにもならない。言うべきことは言うべきなんだ。ましてや僕たちの命がかかっているんだ。僕は、深呼吸して運転手の顔を見た。

アルコールとスピードのせいで植村の目が充血して血走ってる。まるで獣と化している。

「ちくしょぉ~なんれ死んれしゃったんらぁ~・・・!」

ろれつがまったく回っていない。ライオンが低い声でゴォーゴォー吠えたくっているようだ。「駄目ですよ。飲酒運転は。それにそんなにスピード出したら、危ないじゃないですか。」

「あぁ~?」植村が怒気に満ちた眼差しで横を向いた。

睨みつけられ、僕は思わずその気まずさに目を背け、真っ直ぐ前を見ることになった。その時である。前方を見た僕の目の先には高速道路の上を横切る高架があって、その上にはなにやら人影が見えたのだ。そんなこと絶対あり得ないと思うがライフルの照準をこちらに合わせ身構えている一人の男が見えた気がした。一体何をしているのだろう?あんな所で。いたずらなのか?全然、検討もつかない。その時、また植村のろれつの回らない声が始まっていた。

 

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2021年03月23日

ボンベレスダイブ106

 

植村が、話終える。しばらくの沈黙が続くことに・・・

周りから聞こえてくるのは、トラックのエンジン音しかない。

しかし僕たちの耳には、それが地獄の窯が煮えたぎる慟哭の音にしか聞こえてこなかった。

「俺がな。おまえらをこのトラックに乗せようと思ったのはな。お前らにはリストカットした弱い友達がいると聞いたからだ。俺の弟は死にたくないのに誰だかわからねえ奴に殺されて死んでいった。この悔しさがお前らにわかるか?別に本人が死を望んでいたわけでもない。決して本人は死にたくもないのにだ。それなのに・・・なぜだ。人は独りで自然の摂理に逆らってまで自分勝手に死にたいから死んでいってるという現実がある。当たり前のように死んでいける世界があるってこと自体大きな間違いなんだ。この世はてめえ独りだけじゃねえんだ。人一人死ぬということは俺たちのような周りも大きく人生を狂わせることになる。それがわかっていねえ。あたかも死ぬのは私の勝手でしょと言わんばかりの態度になって開き直る。人はオギャーと生を受けてこの世に産まれたからには天寿を全うして精一杯生きなきゃならねえんだ。俺はお前らにそういう現実があるということを判ってもらいたい。死というものは自らがすすんで望むんじゃねえ。死というものを軽視しているそのアンポンタンに言ってやれ。死は自然に受け入れるものだ。生きて生きて死の使いの者からお呼びがかかるまで精一杯生きるんだと・・・」

植村が語気を強めている点から真剣度が伝わってくる。

「いいか。わかったな?」

強い眼差しを僕たちに向ける。

僕たちは、植村の強い申し出に深く頷いた。

そうか。改めて納得したことがある。この植村という人物が僕たちの安否をここまで心配してくれるのは、自分の周りでこれほどの残忍な事件があったからなのか?

僕たちに警鐘を鳴らせているとも言える。

 

「ひどい事件。」

しばらくして和樹が静かに言った。

「ちくしょ~。明が死んだのは、この世界が悪いんだ。明は、今の時代の言うなれば犠牲者だ。ちくしょ~。」

プシューー

ビール缶を開ける音と共に、すすり泣く声が遠くのほうに聞こえるようになっていた。

僕たちは激しい眠りに襲われつつあった。

あまりの眠さに思考回路がだんだんと断線していくのが分かった。

トラックの小気味良い振動が手伝ってか、またもや僕と和樹は夢の世界へと引きずり込まれていったのである。

 

 

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南安城整骨院・接骨院のおもしろい院長ブログ

安城市にございます南安城整骨院では、院長がブログを配信中です。院内の出来事や治療の事、お体の事、あるいは日常のちょっとした出来事などを綴っておりますが、ご覧いただいている常連の患者様などからは、文学調で面白いとか、エッセイを読んでいるようだとの感想を頂戴しております。
単に痛みの話や交通事故治療の話を語り、南安城整骨院・接骨院にいらしてくださいというのではなく、どこか小説を読んでいるような面白さでございます。是非一度、ご覧いただき、院長の成りや人柄、考え方に触れていただければ幸いです。
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