2020年04月26日

GHOST 第20話

 

「おい。起きろ。」

クロゼットの中で

うつらうつらしていた俺に向かって

急に誰かが話しかける。

ハッと我にかえる。

GHOST「誰だ。」

あたりを見回すが誰もいない。

暗いクロゼットの中にいるのは監禁されてる承と

その隣にまるで役目を果たしていない名ばかりの守護霊となっている俺のみ。

おかしい。今、確かに声がしたんだが・・・

もしや承の声?いや違う。今の声は承の声ではなかった。

かなり年配だった声のような気がする。

「そなた、そんなに我が子の前に目に見える形で姿を現したいのか?」

まただ。

どうやらクロゼットの外から声が聞こえてくるみたいだ。

クロゼットの扉は湿気防止のため

完全な一枚板になっておらず

扉の中央に縦一列に5本ばかりの柱が組み込んであり隙間が空いている。

俺はその隙間から外を確認してみる。

見慣れない西洋人のような長髪の老人が壁にもたれながら座っている。

風貌はというと一枚の大きな白い亜麻布を器用にも体に巻きつけ

片方の肩だけは巻かずにおもむろに見せつけるような感じにしてあり

もう片方の肩の上でピン止めして

下の方では一本の縄がウエストのあたりで締めつけてある。

GHOST「なんだ。あの格好。随分変わったファッションの老人が現れたものだ。」

俺はそれを見ながらクスッと笑ってしまう。

どう考えても現代人が着ているいで立ちとはかなりの差の開きがある。

GHOST「じいさん、どっからこの家に入ったの?

どうしたの?仙人みたいなヘンテコな服着て。

しかも縄で腰止めって。

死ぬ前に現世では母ちゃんにベルトの一つも買ってもらえなかったの?

まあ俺個人としてはそのワイルドさを高く評価するけどね。

どこかでこのあと仮装大会でもあるのかい?」

「じいさん!!!どの口が言っておる?なかなかそなた、初対面なのに失礼な奴よの。」

カチンときたようだ。

なんだよ。いきなり怒ってきたよ。気難しい頑固じいさんだな。俺は思う。

GHOST「まあいいじゃないの。固いことは抜き。

じいさん、あんたもどうせ俺と同じで不虜の事故にでも遭って成仏できず

魂がこの世の中でフワフワと浮遊して、さまってんだろ?

お互い苦労するよな?」

「ウォッホン。ワシはだな。そなたの言う・・・」

老人が話そうとしていた所に俺が割って入る。

GHOST「まあいいや。どうでもいいよ。そんなこと。

じいさんがどうして死んだかなんて俺には一切興味無いから。

どうせ今流行りのコロナにでもかかって死んじまったと

勝手に俺の中で解釈しとくからさ。

それにじいさん固いんだよな。

そなた・・・そなた・・・って。

冬のソナタじゃないんだから。

生前もそんな高貴な人が言ってるような言葉使ってたの?

かなり現世じゃ生きていくうえで色んな人達から気持ち悪がられただろ。

そうだろうな。浮世離れしすぎ。

近頃じゃそんな言い方してギリシャ神話に出てくるようなファッションしてる人見たことねえもん。

まあ折角こうしてこの世界でお互い話せる人間を前にしたんだから、

もうちょっとリラックスして話し合おうや。

俺たちは同じ境遇なんだ。

そんな毛嫌いせずお互いヨロシク頼むわ。」

「・・・」

無口になったところをみると老人は俺の飾らない言葉に腹を立てたようである。

GHOST「気悪くしたかい?気悪くしたなら謝る。ごめんな。じいさん。」

気を取り直して老人に尋ねてみる。

GHOST「ところで何?さっき言ってたけど、じいさん、俺の望み叶えてくれるの?」

「そうじゃよ。そなたは本当に我が子の前に姿を見せて現れたいのだな?どうじゃ?」

GHOST「じいさん、すごいね。地獄耳なんだ。

なぜそういったことで俺が悩んでいるって知ったの?」

「昨日、ワシに向けて言っていたではないか。」

GHOST「言うには言ってたけど、じいさんには直接言った覚えはないし・・・

わかった。そうか。

たぶん神様を通じて回り回って間接的に俺の言葉がじいさんの耳に入ったんだな。

そんなぁ・・・わざわざ俺のために老体にムチ打って、ここまで来てくれるなんて。

感謝。感謝。じいさんって優しい人なんだな。

段々こうして見てるとじいさんの顔が絵画で言うところの

「最後の晩餐」の中央にいる人そっくりに見えてきたよ。

ちょっとこっちの方がシワが多くて白髪も多い。

かなり身なりもお粗末で頼りない感じだし歳もとり過ぎだけどな・・・」

「悪いか。余計なお世話ではないか。さっきから大人しく聞いておれば、

あ~だこ~だと失礼なことばかり言いおってからに。

そなたちょっとうるさいんじゃよ。

もう少しだまっておれ。

それにしてもあの絵にワシが描かれているとよくわかったものじゃな。

よいか。歳は誰だってとるもんじゃ。

あれは若い頃のワシじゃ。

レオナルドの奴が1点透視図法という特殊な方法を用いてワシを書いてくれたんじゃ。

同じレオナルドでもディカプリオの若造の方ではないぞ。

しっかし・・・こんな小僧におちょくられるなんて・・・まったく。

ワシも落ちぶれたもんよ。」

GHOST「わっ、感じワルッ。俺を子供扱いして。」

「まあそんなことどうでもよい。

我が子の前に姿を現したいのかどうなのか?ワシは聞いておる。」

GHOST「そ、そうだよ。姿を現して承と話しがしたいんだ。」

いきなりのことで戸惑いを隠せないが

俺は素直に応じる。

「そのワシに向けてのタメ口どうにかならんかの。

何億という人間がこのワシを世界では崇拝してくれているのに・・・

そもそもワシの方がそなたより歳上なんじゃからして・・・」

GHOST「うぇ。じいさん上下関係には厳しいんだ。

見た目はひ弱そうなんだけど、じいさん案外と体育会系なんだね。

霊界にも上下関係があるなんて知らなかったよ。

まあいいか。俺の望みを叶えてくれるんだし・・・

あのぉ~

本当にワタクシの願い叶えてくださるんですか?」

「一つだけな。」

GHOST「なんだよ。ケチ!!」

「今、何か言ったか?」

GHOST「いえ、何も言ってません。」

「そなたの望みを一つだけ聞いてやろう。

それ以上は無理じゃぞ。

ワシも世界を股にかけて行動している忙しい身じゃからな。

このあとそなたの用事が済んだら、すぐイタリアに出張行かねばならんのじゃ。」

GHOST「忙しいんだな。まあいいじゃないの。歳をとっても必要とされるんだから。

ありがたいとおもわなきゃバチがあたるよ。

そんなことより承の目の前に現れるには、どうすればいいの?」

「またタメ口になっておる。そなた馴れ馴れしいんじゃ。

まあワシだから許してやるがの。

弟子たちの前でそんな言葉使いしてたらデコピンもんじゃぞ。

話が脱線したゆえ元に戻すと・・・

そなたの望みを叶えてやれる一番いい方法の一つは・・・

我が子の枕元に立つがよい。

これが一番簡単な方法だとワシは思うのじゃ。

もっともそなたの子はクロゼットの中にいるので枕元に立てる状況ではない。

このままにしておいてはあまりにも可哀そうだと思い、そなたの願いを叶えるようにしたんじゃ。

ただしこれには条件がある。

ポルターガイストのようにものを動かすというのは厳禁。

もっともこれは現世で超能力を身につけていなかったら出来ない技なんじゃがな。

スプーン曲げ一つも出来ないそなたじゃ逆立ちしても無理じゃ。」

GHOST「だったら、ポルターガイストなんて言うなよ。」

「今、何か言ったか?」

「いえ、何も言ってません。」

「我が子の前で姿を現して言葉を発するのみじゃ。

それも言葉を発せられるのはたったの一回のみ・・・

よいか。一回のみじゃぞ。

それ以上言葉を発すれば己が自然と現世から姿が消えてしまうからな。

それに。

我が子を前にした時に心を乱してはいかぬ。

冷静沈着にして節度ある態度を保持することが必要となるからの。

平常心を保って常にポーカーフェイスで一言だけ我が子に向かって言うがよい。

その一言だが文字数にして10文字以内。」

GHOST[なかなか細かいな。]

俺は小声でつぶやく。

「今、何か言ったか?」

GHOST「いえ、何も言ってません。」

「幻聴かの。歳をとると耳が遠くなっていかん。

中には原稿用紙1枚分言う者もおるが

そうなった場合

即、話している途中でアウトにするからの。

それらを守ることができるなら、ことを成すがよい。

時刻は今日の・・・そうだな。丑三つ時がよいな。

そなたのような浮遊した霊が出やすい状況がそろっておるからの。

それにこの時間帯は、とくに輝かしい後光が射しやすいんじゃ。

よいな。しかと約束は守るのじゃぞ。わかったな?」

GHOST「わかりました。ありゃーす。」

「そなた、ふざけておるのか?

ふざけている者には慈悲をいっさい与えたりしないからな。」

GHOST「いや、失礼しました。決してふざけてなどいません。すみません。」

「では頼んだぞ。」

GHOST「あ、あの・・・最後にひとつだけ聞いてもよろしいでしょうか?」

「なんじゃ?」

GHOST「句読点含めて10文字ですか?それとも含めなくて・・・?」

と言った瞬間、スッと老人は煙と共に消えて

「アホか。」と去り際に小声で言った言葉を最後に

そのあと一切何も起こらなくなり

声も2度と聞くことはなかった。

まことにもって変なじいさんだった・・・

 

つづく

オバケ

 

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2020年04月23日

GHOST 第19話

 

夜は段々と更けていく。

「おとうちゃ、さみしい

薄暗いクロゼットの中で承は独り呟く。

「おとうちゃ。あいたい・・・」

俺も承の唯一の形見であった腕時計を

吉田の強引な行ないによって失くしてしまったことに

いたたまれず承の隣で共にシクシク泣いていた。

GHOST「ご、ごめんな。承。

こんな狭い暗闇に独りにさせて。

救ってやりたいがおとうちゃんにはそれができないんだ。

どうすることもできない。

お父ちゃんが死にさえしなかったらこんなことにはならなかったのに。

自然と涙腺が緩み次から次へと止めどなく涙が出てくる。

お父ちゃんだってまだ死にたくはなかった。

これからもずっと承と一緒に居たかった。

ずっとずっと承と一緒に居られると思ってた。

承が大きくなって

一緒にキャッチボールできるのを夢見ていたりしたんだ。

でももう叶わない夢に終わってしまった。

あえなくおとうちゃんは死んだことによりゲームセット。

でも承はこれから生きていく上で若いんだ。

人生ゲームは始まったばかりで

プレーしていく上で未来を築いていけるチャンスはある。

ただ・・・

あんな冷酷非道な奴にさえ遭わなかったら・・・

吉田に遭ったことにより承の大切な人生の岐路を・・・

ゲーム上でいうなら

スタート地点でマス目を5マスも10マスも戻らされてしまったことになる。

まだ2歳になったばかりの子供にこんな辛い事が待ち構えているなんて。

おとうちゃんはあいつを絶対許さない。

あいつは人間の皮を被った悪魔だ。」

俺は、たまらず拳を強くギュッと握る。

「物質化できてアイツの前に化けて出ていけるのなら

今すぐにでもアイツを呪い殺してやりたいくらいだ。

承、辛いだろうな。

こうして独り小さな体で戦っていること・・・

どれほど大変なことか。

想像を絶する恐怖と寂しさが

お前を襲っているんだろうな。

お父ちゃんはこうしてお前とは違った異空間に

存在していて何もしてやれない。

承が虐待に遭っているのに見ていることしか出来ないでいる。

一番辛い。親としてそれは拷問に等しいものがある。

こんなに身近にいるのに守ってやれないなんて・・・

おとうちゃんは失格だな。

こんなことになるのなら数千ボルトの電流が流れているので

さわるなと言われて感電した方がまだまし。

目の前にいるのに感触すら感じないなんて・・・

こんなことあるか。

承。お父ちゃんは

いつもお前のこと思っている。

決して見離した訳じゃないんだ。

承、お父ちゃんの声聞こえるか?

ふぅ~。やはり承には聞こえてないか。残念でしかたない。

俺がここにこんなにも近くにいるのに。

なぜ承に言葉を伝えることが出来ないんだ。

触れることさえもできない。

神様、ほんの少しでもいい。

ほんの少しでもいいから

俺の気持ちを承に伝えてやってくれ。

すべての人が悪魔に見えたとしても、

おとうちゃんだけは承を見捨てたりはしない。

おとうちゃんはいつも承のそばにいていつも承を見守っているんだと。

神様、頼む。頼むから・・・」

俺は泣き崩れる。

尚も俺は今まで耐え忍んできた言葉が次から次へと出てくる。

「神様、俺なんかどうなってもいいんだ。

死を受け入れた以上、これよりも悪くなりようがない。

どんな天罰でも受けてやる・・・

俺を地獄に突き落とすなら突き落としてくれ。

好きにやってくれていい。

そのかわり承だけは何としてでも俺が守ってやりたいんだ。

こんな宙ぶらりんな状態で虐待されてる承を見ているなんて・・・

耐えられない・・・耐えていられる方がおかしい。

でも神様、あなたはこう言うかもしれないな。

そうやってそばに居られるだけでもありがたいと思えと・・・

そうか。俺の今していることっていったら

承の守護霊になっているわけだ。

神様の計らいで守護霊にさせてもらってるってこと。

だからそれ以上の贅沢は言うな。

それでお前は充分だろ。我慢しろ。

神様、そう俺に言いたいのか?

近くにいられるということが何よりも幸せなんだということを・・・」

確かにそうかもしれない。

「でも神様。じゃあ聞くが

もし俺が今、俗に言われる守護霊になっているとするなら

そばにいて見ているだけ。何もしてやれない。

何も守ってやれない。何も言葉に出して言ってやれない。

何の運命も変えてやれない。

デクの棒のようにただただジッと承の隣に立って

馬鹿みたいに我が子を見ているだけ・・・

こんな飾りだけの存在が守護霊と言えるのか?

虐待されているのを近くで見ているだけの守護霊なんて・・・

いったい何を守っていると言うんだ。

なにも守ってやれていないじゃないか。

これがあなたの言う守護霊の本当の姿なのか?

守護霊って困っている子孫の背後にとりついて

救ってやれるほどの有り難い存在じゃないのか?

こんなこと・・・とても耐えられない。

今、俺のしていることが守護霊の役割だなんて・・・

これじゃあ役立たずの守護霊じゃないか。

俺にとっては嫌がらせもいいところだ。

神様、そうじゃなくて俺に本当の力を与えてくれ。

承を本当に守ってやれることのできる力を・・・

承は・・・これから先の希望がある。

承は虐待に遭いながらも今必死になって生きようとしているんだ。

その分だけでも俺の守護霊としての力を発揮して幸せにさせてやりたい。

こんな2歳の小さい体で虐待に遭ってでも我慢して耐えているんだ。

努力やら試練は人それぞれ用意されてるとするならば

幸せは誰にだってつかめるものじゃないのか?

神様、これが本当の試練だとするなら、

なぜ産まれてから今に至るまで

業を積んだことすらしたことのない

こんな幼い子供にまで

これほどの試練を与えようとするんだ。

まるで生き地獄じゃないか。

承はまだ2歳なんだ。

人生ゲームが始まったばかりで、

ゲーム本来の楽しさというものをまだ知らないでいる。

これ以上苦痛を与えて苦しめないでやってくれ。

1度でもいいから承を幸せにさせてやって笑顔にしてやりたいんだ。

そのかわりこの俺がどんな罪でも受ける。

俺を罰してくれ。」

俺は泣き崩れながら必死になって神様に懇願する。

必死になって祈る。必死になって叫ぶ。

でも何も通じない。

漆黒の闇夜の世界が音も無くシンと静まり返り存在するだけ。

俺はとうとう禁断の言葉を口にする。

涙ながらに・・・

「承、こんなことになるのなら

お父ちゃんと一緒に電車に轢かれて死ねば良かったな。

ごめんよ。承。

もっと色んな思い出を作ってあげたかった。

今となっては図書館に一緒に行っていた記憶だけが痛烈な思い出しかない。

2年間という期間は短すぎる。

神様、あなたはどう思うか知らないが

承は、これっぽちの物しか幸せというものを

手にしたことがないんだ。

それなのに尚もいばらの道を歩かせるなんてあんまりだ。

世の中にはもっともっと幸せな生活をして

暮らしている子もいるじゃないか。

うちの承にだって

ごく普通で元気いっぱいの2歳の男の子らしく

笑いの絶えない暮らしをさせてやりたいんだ。

どうしてあなたはここまで差別をお与えになるのか・・・

こんなことなら承を早く楽にしてやってくれ。

じゃなかったらあの吉田という悪党を地獄に突き落としてやってくれ。」

暗闇の中で叫ぼうとも誰も何も反応しない。

俺だけが空しく独り叫んで空回りしている。

こんなどっちつかずの魂がさまよっている人間には

これっぽっちの感情さえも神様には届かないのか。

月が冷えた地面を照らしている・・・

「ごめんな。承。

お父ちゃんだけが先に逝ってしまって。」

枯れる事のない涌き出る泉のように

次から次へと涙が出てくるのだった。

 

 

 

つづく

obake

 

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2020年04月21日

GHOST 第18話

 

 

「これでよしっと。」

手で体に着いたホコリを払いながら

吉田はホッと安堵のため息をもらす。

「可愛くねえガキだぜ。まったく。

当分、お前には食事食わせねぇからな。

そこまで暴れる力があるんだ。

お前にはエネルギーの元になるようなものは

今後いっさい食わせねえ。

俺よりまさるものなんてお前には必要ない。

しっかり反省して

自分のしでかしたことをよく考えろ。

反省するまで飢え死にしようがどうなろうが

絶対にここを出さねえから。

こんなことになったのもお前が悪いんだからな。

全てお前が悪い。

胸に手を置いてよく考えてみろ。」

クロゼットの前で吉田は大声で叫ぶのだった。

 

つづく

 

halloween-obake

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2020年04月19日

GHOST 第17話

 

吉田はタバコの火を承に押し付けた後

何かに気づく。

「お前、何持ってんだ?」

承の手に持っている物に目が留まる。

それは俺が生前にしていた腕時計・・・

「おい。なんでこんなもの持ってんだ。

ガキの分際で!!!

腕時計なんてしゃらくせえ。

こんな物いつまでも持ってるから俺に懐かねえんだ。」

と言ったところで

「ただいま。」

有子が買い物から帰って来る。

「今から食事作ります。」と部屋をのぞき有子が淡々と言うと

「おい。これ見ろよ。コイツ今でもこんな物持っていやがった。」

すかさず吉田が腕時計を有子に見せる。

「あっ。それ亡くなった主人の・・・

承が思い出として大切に持っていたのね。

あなた・・・嫌じゃなかったら代わりに時計はめてくださらない?」

有子が申し訳なさそうに言う。

「お前、本気でそんなこと俺に言ってんのか?

こんな死んだ奴の時計・・・縁起でもねえ。

気色悪くてはめられるか。

かえって祟られるってもんだ。」

俺がすぐ近くに居て聞いているとも知らず

何もわからず俺の悪口を構わず吉田がバンバン言っていることに

無性に腹がたってくる。

GHOST「ああ。そう言うのならお前の望みどおりに祟ってやろうか。」

どうせいつものことながら伝わっていない。

自分ひとりが腹をたてているだけ損な気がする。

「コイツの不幸が俺にのり移っちまうじゃねえか。

GHOST「お前が承を不幸にさせてんだろ。」

「苦しむのはコイツだけでいいんだ。

なんで本当の親でもねえ俺が

コイツの不幸分まで背負わされなくちゃいけねえんだ。

こういう縁起でもねえものはな・・・

こうしてやるのが一番なのさ。」

吉田は居間から窓を開けベランダに出ていく。

手に持っていた腕時計を

空中に向かい投げ上げる体勢をとる。

そして次のように言う。

「お前の忘れ物だぜ。ぼんくら。

これでお前のものでこの世にあるものは

承だけだ。まったくやっかいなものこの世にこしらえやがって。

俺がゆっくりとお前の分身をいたぶってやるからな。

あの世からよく見とくんだな。

その前に・・・っと

受け取れ。このガラクタ・・・」

吉田は天空に向かい大声で叫ぶ。

俺に向け発した言葉であることはすぐわかった。

GHOST「馬鹿。何する気だ。やめろ。

それは承が唯一大切にしている物なんだ。

残してやっておいてくれ。」

吉田は有無を言わさず

4階から天空へ向け腕時計を放り投げる。

「ビューン!!」

GHOST[馬鹿。やめろぉ~]

「あなた、やめて。」

「ぼくのおとうちゃ。とけい・・・」

その瞬間、泣きながら承は叫ぶ。

まさか吉田が4階から俺の形見である腕時計を放り投げるなんて・・・

想像もしていなかったに違いない。

承は慌てて玄関に向かい時計を追いかけようとする。

「おっと、そうはさせるか。

お前を外なんかに出しちまったら俺の虐待がわかっちまうだろ。

2度とお前なんか外に出すつもりはねえ。」

吉田が承の行く手を阻む。

暴れる承を力づくで抱きかかえるとすぐさま床へと叩きつける。

「バシーン!!」

「おとうちゃ。おとうちゃ。ぼくのおとうちゃのとけい~あぁ~」

全身をフロアーに強く打ちつけられ痛がりながらも

必死になって腕時計を失ったことに対して狂ったように承は泣き叫ぶ。

「うるせえ。静かにしろ。

まわり近所に聞こえるだろ。

だまれ。

だまれと言ってるだろ。わからねえのか。

そんなうるせえ奴にはお仕置きしかねえな。」

と言うと近くにあるクロゼットの扉を開ける。

そしてクロゼットの中に承を押し込めようとする。

GHOST「やめろぉ~。たのむ。たのむ・・・」

俺は吉田が今から何をしようとしているのか瞬時にわかると

大声で叫ぶが吉田にはこの声は届かない。

最後は力なく拝むしかない。

「あなた何するの?やめて。」

有子も大声で泣き叫んでいる。

承は慌ててクロゼットから出ようとする。

行く手を塞ごうとする吉田。

思わず吉田の手が承の顔へと覆いかぶさる。

ガブリ!!

「いてぇぇぇ。こいつ、俺の手を今咬みやがった。」

お互い吉田も承も必死の形相になっている。

「チクショ~どこまでお前はクズなんだ。

このクソガキぃ。

もうゆるさねえ。」

そう言うと承を大人の力で強引にねじ伏せ

首根っこ捕まえベランダに連れていく。

GHOST「なにする気だ。」

「あなた、お願いだからもうやめて。」

吉田は承をよいしょと持ち上げたかと思うと

両足を抱えたまま承を半身だけベランダから柵を乗り越え外へと放り出す。

GHOST「あぶない。」

それを見た瞬間、あまりの残酷さに有子はその場で気絶してしまう。

「ぎゃぁー」

暴れまわり叫び狂う承。

4階から放り出された怖さのあまり

段々と承の動きが固まってくる。

承が気を失い完全に固まったところで

吉田は承の両足首を持ち

承の全身をベランダの外へと吊るす。

承の体は吉田の両手によって両足を持たれ4階から宙吊り状態。

もし吉田の手が離れることになれば

4階から落下して地面に叩きつけられ命を落とすのは確実である。

「おら。怖いか。

どんなに叫んだってお前のお父ちゃんなんて助けに来てくれやしねえぞ。

死んじまったんだからな。わかってんのか。

お前を捨てたも同じってことだ。どうだ悔しいか。

だからどうなろうともお前は俺に従うしかねえんだよ。

俺の奴隷になるってこった。

それがお前の今ある生きるための術だ。

どうだ。よくわかったか。このクソガキ。

俺様の偉大さを思い知れ。」

吉田は悪ふざけでもして楽しんでいる子供のように

顔はニヤつきながら承を虐待する。

GHOST「ひどい。ひどすぎる・・・」

絡まった糸を揺さぶらせて解こうとするように

承の体を前後に振ったかと思うと左右に振り回し

さらに自分自身がスリルと快感を味わうように

ベランダの柵の上に自分の前腕をあずけテコの原理を利用して

承の体を上げては下げしながら上下動させる。

「ぎゃあ~」突然、意識を取り戻した承は

今ある現状に気づき悲鳴を再度あげる。

しばらくすると承は大人しくなる。

信じられない状態にされていることにまた気絶したのだろう。

GHOST「頼む。やめてくれ。頼む・・・お願いだ・・・」

どうあがいても俺の切なる思いなんて決して届かない。

承が完全に気を失っているとみるや

承の体をベランダの柵から引き上げ

部屋の中へと戻す。

よかったと安堵するのも束の間、

吉田はヘロヘロになって元気のなくなった承を

クロゼットの中へと再度閉じ込めようとする。

承を監禁することは、まだ諦めていないようだ。

実にしつこい。

ワニやらサメが食いつくように絶対何が起ころうと離さない感じで

手足が無くなるまで死闘を繰り広げるつもりらしい。

むしろ気絶でもさせたら好都合。

承を自分の思うように扱いやすくなるとの判断だったのかもしれない。

意識が戻った承は尚も必死の思いで抵抗を始める。

絶対出してなるものかと吉田は足で承を力いっぱいクロゼットの中へと蹴飛ばし

そのまま片足で承をクロゼット奥の壁に押さえ込むと

急いで承を押さえている片足を一気に離し

「ガチャン」と扉を力任せに勢いよく閉める。

クロゼットの扉の前に重そうなタンスをすばやく置いて出口を塞さぐ。

GHOST「やめろぉ~やめてくれぇ~」

俺は地の淵から渾身の力を込めて泣き叫ぶ。

承は暗闇の中でクロゼットの扉を思い切り叩き

俺と同じように泣き叫んでいる。

こうして承のクロゼットの中での生活が始まるようになってしまう。

 

 

つづく

 

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2020年04月18日

GHOST 第16話

木漏れ日降り注ぐ部屋の一角で昼の穏やかな時間を

吉田と承は一緒に過ごして居た。

俺も別世界から承を見守っている形ではあるが・・・

有子は買い物に行って家にはいない。

それは突然に起きた。

「ぼくのおとうちゃ、やさしいひと。」

たったこの一言。この一言を承が言ったがために

事態は急変する。

承は日差しによるあまりの気持ちよさに

気が緩んでしまい独り言として無意識に呟いてしまったのだ。

吉田はそのちょっとした瞬間に承が発した言葉を聞き逃さなかった。

「はあ?今なんて言った?

もう一回言ってみろよ。」

吉田は承に自分とこの俺とを比較されることを一番嫌った。

「なんだ、このくそガキ。

ほんとかわいくないぜ。

こうして俺が隣にいるときでもお前は死んだ親父のことをいつも思ってんだな。

なら俺がまるで優しくないみたいじゃねえか。

そうか。お前の腹の中は

いつでもどんなときも親父の面影があるんだ。

いつもお前はそう思ってこの俺を汚らわしい存在だと思ってんだ。

なるほど。

そうだったのか。よくわかったぜ。

どうりで俺に懐かねえ訳だ。

だからお前は

いつまで経っても俺の前で可愛くねえガキでいられるんだ。

GHOST「お前がいつもそんな高圧的な態度で接するから

こうなるんだ。

もう少し優しくなれ。

人間の心は機械じゃないんだぞ。

スイッチひとつで言うなりになるなんて思ってたら

大間違いだ。」

「ぼくのおとうちゃ。やさしいひと・・・」

めげずに承は心のうちを明かす。

これが2歳で小さい体の承が出来る吉田に対する最大の反抗だった。

「はあ?おとうちゃ?なんだそりゃ。しっかり話せ。」

胸糞悪い言い方を承がしようものなら、

その言葉じりを捉えて、吉田はとても疎んじた。

GHOST「まだ承は2歳なんだよ。

お前も小さい時は、うまく話せなかっただろうが。

誰でも最初の頃は上手に話せない。

ゆるしてやってくれ。」

その時である。

よほど亡くなった父親のことを言われることが頭にきたのだろう。

吉田の吸っていたタバコが承の体へと近づいていく。

「ジュッ。」

焦げたにおいがまわりを漂う。

「ギャァーーー!!!」

突然に爆発する承のもだえ苦しむ声。

あまりの熱さに耐えきれず暴れ狂う。

一瞬、俺には、なにが起きたのかわからなかった。

GHOST「何するんだ。まだ2歳の子供だぞ。

やめろ。

タバコの火を

小さい子供に押し付けるなんて・・・

まともな人間のすることじゃない。」

俺がなんと言っても吉田の耳には届かない。

吉田は顔色一つ変えず

むしろ悪ふざけでもしている子供のように

薄ら笑いさえ浮かべている。

「ざまあみろ。」

吉田の心の声が俺の耳に届く。

現世で生きている者にとって

その人間の裏の部分

つまり本性というものは

なかなか見破れなかったりする。

影で存在するその人間の素顔

裏に潜んでいる悪の部分が

霊界にいると心の声となり聞こえてきて

現世では見られていない時に存在する残忍な素顔が

正体を現す。

吉田に関して言えば心の声を聞くことにより

更なる極悪非道ぶりが強調され悪の上塗りをすることになる。

GHOST[なぜなんだ。

なぜこんな奴が何の報いも受けず

この世にノウノウとのさばっているんだ。

神も仏もあるものじゃない。」

俺が今いる霊界というものはこういったところなのか?

何の手出しもできず・・・

悪の素顔というものを嫌というほど

見せつけられ・・・

段々とこうしたことが積み重なり

次第に・・・

守りたい人がどんな酷いことをされようが

霊界に生きている以上

見慣れてくるようになり・・・

耐え忍ぶしかなく・・・

気付いてみれば・・・

諦めの境地に突入していくってことなのか?

ここ最近の俺は自分の無力な存在価値を嘆いてしかいない。

これが現実。

 

 

これで承に対する吉田の虐待は済んだかに見えた。

まさかあんな悲惨なことが起きようとは・・・

 

つづく

 

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