2020年04月01日

GHOST 第9話

 

寂しそうにしている承を見ると

自分も胸が締め付けられそうなほど苦しくなる。

ここ1ヶ月間というもの有子においては

酒浸りの毎日を過ごしている。

運命というのは

ほんと儚くてもろいものだと思う。

ちょっとしたボタンのかけ違いが大きく人生を狂わせる。

あの時、図書館にさえ行っていなければ・・・

あの時、雨さえふらなければ・・・

あの時、電車さえ通らなければ・・・

運命は明らかに変わっていた。

こうして魂だけが浮遊して彷徨うことなどなかったのに。

まるで人生をかけ双六ゲームをやっているようなものだ。

ある者は家を買う。10マス進む。

ある者は持ち株の値が下がり5マス戻る。

ある者はコロナにかかり症状にもよるが治れば振り出しに戻る

重症化したら8マス戻る。

俺の場合、死んでしまったことにより、すべてが終わりゲームセット。

でもこうも考えることができる。

あっけなく終わりを迎えたがゲームで楽しませてもらった分、幸せだったと。

もしこれが息子の承の立場に立ってみた時

ゲームは始まったばかりなのに

こういった状況に遭遇するなんて。

ゲームというそのものの楽しさをまだ知らないうちに

スタート地点から2マスも5マスも戻ったことになる。

これってゲームを知っている者からすれば

不憫に思えてならない。

だがたとえゲーム上では最初から後退したといえども

こうして生きている以上、それはなんとでもなる。

父親が死んで2マス戻ったとしても

この先の生き方次第で5マスも10マスも

巻き返しが計れる。

どういったサイの目が出るかは

これからの人生の結果次第。

そうなんだ

生きてさえいれば・・・

つづく

 

ゴースト_LI

 

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2020年03月30日

GHOST 第8話

「なぜ死んでしまったの?」

あの事故から1週間が過ぎていた。

有子はこの1週間はとても忙しくしていて

親族たちを上手くあしらいながら

通夜をこなし葬儀をこなし

書類の整理などで

てんやわんやの日々を過ごしていた。

ようやく落ち着いた1週間後の今朝になって

かなり気を張っていたのが現れてしまい

出棺が終わった時点で一気に気持ちがほころぶとともに

まるで緊張の糸がプツンと切れて

腰が砕けてベッドから起きられない状態にまでなっていた。

今日一日は這うようにして部屋中を移動して

気を紛らせるため朝から夕方になるまでソファに座りずっと酒を飲んでいる。

このままにしておけば酒浸りの日々が続くことになる。

GHOST「あまり飲むと体に毒だぞ。」

まったく聞こえていない。俺の声が聞こえるはずもない。

俺達は住む世界が違うのだから。

この1週間でわかったことがある。

俺の声は生きている人間には届かなくて

どうやら俺の魂は成仏せず、この現世において

彷徨いながら浮遊しているらしい。

もちろん俺の姿も生きている人間には映らないし、

俺が触ろうとするものも全て空気みたいに俺からすり抜けていく。

魂だけがフワフワと意識を持った状態で彷徨い続けているのだ。

「おとうちゃ、どこ?」

「おとうちゃんはね。今ここには居ないのよ。」

「どこ?」

「あなたの知らない世界に行ってしまったの。」

「とちょかん いきたいな。」

「承・・・」

GHOST「承・・・ごめんな。」

その言葉を耳にするなり

有子も俺もともに住む世界は違えども

声をあげ長い時間泣き続けるしかなかった。

つづく

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2020年03月27日

GHOST 第7話

 

 

 

 

 

 

   GHOST 第7話

 

 

 

 

 

 

 

 

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2020年03月25日

GHOST 第6話

 

「これ・・・よんで。」

図書館に入るとまずまっ先に読ませられる絵本がある。

題名 2ひきのかえる。にいみ なんきち作

随分と気に入っている絵本の一つで

置いてある場所も承は知っていて

児童図書コーナーに入ると

我先にと走っていっては、その絵本を毎回持ってくるのである。

「みどりのかえると きいろのかえるが

はたけのまんなかでばったりゆきあいました。

やあ。きみはきいろだね。きたないいろだ。

と みどりのかえるがいいました。

きみは みどりだね。

きみはじぶんをうつくしいと

おもっているのかね。

と きいろのかえるがいいました。

こんなふうに はなしあっていると

よいことは おこりません。

2ひきのかえるは とうとう

けんかをはじめました。

みどりのかえるは きいろのかえるのうえに

とびかかっていきました。

このかえるは とびかかるのが とくいでありました。

きいろのかえるは あとあしで すなを けとばしましたので

あいては たびたび めだまから

すなを はらわねばなりませんでした。

するとそのとき さむいかぜが ふいてきました。

2ひきのかえるは もうすぐ ふゆのやってくることを

おもいだしました。

かえるたちは つちのなかにもぐって

さむいふゆを こさねばならないのです・・・」

読んでいる最中、承の顔を見てみる。

目を閉じてジッと俺の朗読に耳を傾けている。

不思議なほど静かなので眠っているのかと思うのだが

たとえ夢の中であってもこの朗読の言葉一つ一つが

届いてさえくれればいいと思い俺は最後まで読みきるのである。

10分ほどで絵本を読み終えてしまうところを

ゆっくりと読むのでその倍の20分はかかってしまう。

「そこで2ひきのかえるは

もうけんかは よそうと いいあいました。 おわり。」

読み終わると本棚へ行き

手当たり次第に次の本、次の本と

持って来て「読んで。」と、せがむのだった。

つづく

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2020年03月23日

GHOST 第5話

 

「承、電車が来る。危ないぞ。」

たとえカンカンカンと

けたたましい音が周りを支配していても

遮断機が下りない踏切だと注意力が緩んでしまう。

ちゃんと見張ってないと子供はいきなり飛び出すという危険性がない訳ではない。

油断はできない。

電車が通り過ぎるまで踏み切り手前で待つことに。

線路の周りでは草花が生い茂る湿地帯となっており

花菖蒲などの鮮やかな紫色が周りに色どりを添えて

気持ちを和ませてくれる。

電車を待つ間、

この小さな湿地帯は季節の移ろいを真っ先に伝えてくれる場所でもあるのだ。

電車が通り過ぎ、さらに線路を超えると時間にして15分間、

田んぼと田んぼの間の道を通り抜け

しばらく行くと民家が密集した所に出る。

そこをただひたすら真っ直ぐ行った所に

我々が目指す目的地の図書館に辿り着くのであった。

つづく

 

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単に痛みの話や交通事故治療の話を語り、南安城整骨院・接骨院にいらしてくださいというのではなく、どこか小説を読んでいるような面白さでございます。是非一度、ご覧いただき、院長の成りや人柄、考え方に触れていただければ幸いです。
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