2020年04月08日

GHOST 第12話

 

・・・(承はまだ無言のまま泣き続けている)

いったいなんなんだ。(だんだんと吉田はこの変わらない状況に語気を荒げてくる。)

「馬鹿にしているのか。俺を。」

・・・(ますます激しく泣くようになる)

恐怖のあまりブルブル震えながら承は必死に怖さと戦っている。

全然吉田には懐かない承。

GHOST「有子、お前もボォ~ッと見てないで

わからず屋のコイツに何か言ってやれよ。」

俺の言葉が伝わるわけではないが

いてもたってもいられず吉田と同じ世界で生きている

有子にどうにかできないものかこの状況を委ねる。

ところが・・・

頼みとなる有子も同じように怖さに震えて見つめることしかしていない。

吉田はとうとう堪忍袋の緒が切れる。

「いい加減にしろ。

そんなに俺が疎ましいのか。」

・・・(最初のうちは顔を隠すように泣いていた承が

今では空を見上げるように声を張り上げながら大泣きしている。)

「つまり邪魔なんだな。俺が。え?そうだろ。」

吉田は急に冷え切った冷静な言い方に変わる。

「そんなこと思ってないわ。」

傍から見ていた有子がようやく耐えかねて助け舟をだす。・・・

「お前は黙ってろ。

俺は今、承に聞いてんだ。」

ぴしゃりと語気を強めて言い放ち

有子が口をはさむ余裕すら与えさせない。

・・・(承の大泣きは尚も続く)

俺がはやくこの家を出ていかないか?どうせお前は思ってんだろ。

そうなんだな?」

・・・(無視して声を力の限り張り上げ承は泣いている)

「俺を馬鹿にしやがって。

どうせ陰でお前は俺の悪口言ってんだ。

なんだってんだ。まったく・・・

甘い顔すればつけあがりやがって。

その顔見てると余計にムカつくんだよ。

あ~イライラする。」

怒りで吉田の手が震えている。

「うるせえ。いつまでも泣いてんな。

このクソガキが・・・」

怒りにまかせ吉田の手が自然と承の顔へと近づいていく。

途中からものすごい速さで吉田のムチのようにしなった腕が空を切る。

「ピシンッ」

それは突然の出来事だった。

GHOST「何するんだ。小さい子供に。」

「あなた、止めて。」

有子が怖がりながらも止めに入る。

さすがに親として我が子が頬を張られたのに対して

そのまま見逃すことはできない。

「なんだ。お前もこのガキの肩持つのか。」

「いや。そんなんじゃないわ。」

「じゃあなんだ?」

「・・・」有子も、うつむいたまま黙っている。

吉田に逆らうと暴力にまで発展するかもしれないという恐怖心が存在して

何も言えなくなっている。

「お前もこのガキと同じでだんまり決め込むつもりなのか。

まったくお前ら親子って・・・

いったいどうなってんだ。

訳わかんねえぜ。意味不明な腐った奴らだな。

結局お前ら親子は血が繋がってるから

この俺を仲間はずれにしても平気なんだろ。

あたり前のように無視しやがる。

この俺がこうして独りにされて寂しがっている気持ちがよくわからねえんだ。

ふざけるのもいい加減にしろ。

俺を村ハチにしてそんなに楽しいか?

結局、お前らは遠くから見物して

俺が困っている姿を見て楽しんでいるだけなんだ。」

「そんなことないわ。私はあなたの味方なのよ。」

GHOST「被害妄想もいいところだ。

なにが独りにされて寂しがっているだ。

本当に寂しくさせられていたり

仲間はずれにされてるのは承の方なんだぞ。

お前は勝手にこの家にやってきて

好き放題なことをして

むしろ良くされてるというのがわからないのか。

お前は大人のような体して心は完全に子供だ。」

「お前ら2人は俺の無様な姿を見てどうせ陰で笑ってんだろ。

あ~いまいましい。」

と言うと有子に向かい激しく殴る蹴るの暴力を振るい始める。

GHOST「やめろ。自分の思い通りにならないからって

女、子供に手を出すな。

最悪だな。お前って奴は。」

今まで表面では大人しくしていた吉田の化けの皮が段々と剥がれていき

狂暴なまでの吉田の正体が徐々に表れてくることとなる。

ここでもパワーバランスが崩れて

有子はこの1件以来、吉田に対して怖さ以外、何も感じなくなり

吉田への服従する道しか選択の道はなくなっていったのである。

とうとう吉田が家の実権を握り、この日から本性を現していく。

自分の思い通りになるようこの家全てを操るようになっていったのだった。

 

つづく

 

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2020年04月06日

GHOST 第11話

 

この吉田という男を承も俺も好きにはなれなかった。

人1倍短気だったからだ。

自分の気に食わないことがあると

すぐキレた。

そして物が飛んできた。

時にはペットボトルだったり

時には灰皿だったり・・・

とにかく身近にあるものを

手あたり次第に手にとっては投げてきたといえる。

この時から吉田に優位なパワーバランスが生じていく。

物を投げられた弱者として

物を投げた強者に対し

ますます嫌悪感が増し

怖くなって委縮するようになる。

今まさに2歳の承にその時が訪れていた。

「俺の言うこと聞いてくれ。

聞いてくれないからこうやって俺が物を投げるんだ。

わかるだろ?」

承が怖さのあまり目に涙を貯めている。

「なんだ。泣いてるのか。

泣くなよ。どうした?

俺の前で頼むから泣いてくれるな。

どうしたらいいか俺も不安になるだろ?」

次から次へと責め立てる。

こういった責め立てる行為自体が

承の気持ちを更に委縮させてしまい

泣く行為に及んでいるということが

どうやら吉田はよくわかっていないらしい。

・・・(承は無言のまま泣き続けている)

「どうして泣くんだ?泣いてちゃわからないだろ。」

さらに続けて責め続ける。

・・・(尚も無言のまま泣き続けている)

GHOST「おい。まだ子供なんだからそんなに問い詰めるなって。

お前が物を投げるから怖がっているんだ。」

俺も耐えられず通じないとわかっていてもついつい言葉を発してしまう。

「何かしゃべってくれ。

なぜ何もしゃべってくれない。」

・・・(なんの変化もなく承は無言のまま泣いている)

GHOST「しゃべるはずないだろ。怖がっているんだから。

お前が脅してるから言わないだけだ。

そんなこともわからないのか。」

・・・(承は尚も泣き続けている)

何か言ってくれないとわからないだろ。

なんだ?どこか痛いのか?

・・・(吉田の問いにこたえることなく無言のまま泣き続ける状況は続く)

GHOST「くどいやつだな。そうポンポン言ってやるな。

お前がポンポン言えば言うほど怖くなって

何も言えなくなり泣くしかなくなってしまうじゃないか。

承はな。父親の愛情に飢えてるんだ。

承の気持ちも少しはわかってやってくれ。

承はお前に父親像というものを求めているんだ。

お前が攻撃的になるから承の気持ちをよく聞くことなく見過ごしてしまうんだ。

信頼されたかったら優しくなれ。」

吉田にこの言葉が少しでも伝わればいいのだが。

どうにもならない状況に俺の思いばかりが募っていくのだった。

 

つづく

 

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2020年04月04日

GHOST 第10話

 

 

 

有子の酒浸りの生活もかなり進んでいた。

今では承を家に置き去りにして家を空けるまでに・・・

困ったものである。

1週間に1回だったものが

2回に増え3回に増え

今では1日おきに家を空けるまでになっていた。

承の世話においては夕方近くになると

食事を短時間で作り出来上がると2人一緒に食べて

そのあと風呂に入れさせ

寝かしつけたあと外出するという形をとっていた。

夜中に帰ってくると酒の臭いをプンプンさせながら

帰宅するといった生活がここ最近では続いている。

ある時、ベロンベロンに酔っぱらった挙句

「こっちよ。さあ入って。」と言って男を夜中に連れてきた。

「これが息子の承よ。」と有子が上手くろれつがまわっていない状態で紹介すると

「吉田といいます。どうぞよろしく。」と男があいさつをしていた。

俺はその男の頭からつま先に至るまで舐めまわすように見て吟味する。

まるでお見合い相手を品定めしている親になった気分だ。

「お腹空いたでしょ。何か作るわ。」

と言いながら有子はキッチンへと行ってしまう。

部屋には吉田と承の2人だけになる。

まあ細かく言えば、異空間では俺もこの中に居るには居るのだが。

「君、何歳?」

「・・・」

慣れない状況に承は黙っている。

「おじさんの声が聞こえないのかな?」

優しく言いながら承の顔をジッと見る。

「まあ最初だからね。恥ずかしがっているんだね。」

と言うと仕方ないといった態度で椅子に座りなおす。

何やら小さくボソッと言った言葉が霊界にいる俺の耳に届く。

「ちぇ!!シカトかよ。可愛くないガキだぜ。」

吉田の心の中の第1声がこれだった。

思わずビックリして今の言葉を

本当に吉田が心の声として言ったのか信じられない気がする。

吉田は眼光するどく承を睨むと

有子に気付かれないようにするために

そのあと何も無かったように大人しく振る舞うのだった。

ここ最近の酒浸りの有子をみていて、

早く次の幸せを見つけて欲しいと思ってはいた。

吉田というこの男には俺から良い点数は

とてもあげることはできない。

落第点だから帰れと言いたいのだが

俺の別世界からの声など届く訳ないとわかっているので

有子の気持ちに承も俺も合わせる他なかった。

それからとんとん拍子に事が決まり

まもなくしてこの吉田という男がここに引っ越してくることになり

吉田との生活が始まるようになるのである。

このあと吉田が段々と牙をむくようになることを

俺と有子と承はまだ知る由もなかった。

つづく

 

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2020年04月01日

GHOST 第9話

 

寂しそうにしている承を見ると

自分も胸が締め付けられそうなほど苦しくなる。

ここ1ヶ月間というもの有子においては

酒浸りの毎日を過ごしている。

運命というのは

ほんと儚くてもろいものだと思う。

ちょっとしたボタンのかけ違いが大きく人生を狂わせる。

あの時、図書館にさえ行っていなければ・・・

あの時、雨さえふらなければ・・・

あの時、電車さえ通らなければ・・・

運命は明らかに変わっていた。

こうして魂だけが浮遊して彷徨うことなどなかったのに。

まるで人生をかけ双六ゲームをやっているようなものだ。

ある者は家を買う。10マス進む。

ある者は持ち株の値が下がり5マス戻る。

ある者はコロナにかかり症状にもよるが治れば振り出しに戻る

重症化したら8マス戻る。

俺の場合、死んでしまったことにより、すべてが終わりゲームセット。

でもこうも考えることができる。

あっけなく終わりを迎えたがゲームで楽しませてもらった分、幸せだったと。

もしこれが息子の承の立場に立ってみた時

ゲームは始まったばかりなのに

こういった状況に遭遇するなんて。

ゲームというそのものの楽しさをまだ知らないうちに

スタート地点から2マスも5マスも戻ったことになる。

これってゲームを知っている者からすれば

不憫に思えてならない。

だがたとえゲーム上では最初から後退したといえども

こうして生きている以上、それはなんとでもなる。

父親が死んで2マス戻ったとしても

この先の生き方次第で5マスも10マスも

巻き返しが計れる。

どういったサイの目が出るかは

これからの人生の結果次第。

そうなんだ

生きてさえいれば・・・

つづく

 

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2020年03月30日

GHOST 第8話

「なぜ死んでしまったの?」

あの事故から1週間が過ぎていた。

有子はこの1週間はとても忙しくしていて

親族たちを上手くあしらいながら

通夜をこなし葬儀をこなし

書類の整理などで

てんやわんやの日々を過ごしていた。

ようやく落ち着いた1週間後の今朝になって

かなり気を張っていたのが現れてしまい

出棺が終わった時点で一気に気持ちがほころぶとともに

まるで緊張の糸がプツンと切れて

腰が砕けてベッドから起きられない状態にまでなっていた。

今日一日は這うようにして部屋中を移動して

気を紛らせるため朝から夕方になるまでソファに座りずっと酒を飲んでいる。

このままにしておけば酒浸りの日々が続くことになる。

GHOST「あまり飲むと体に毒だぞ。」

まったく聞こえていない。俺の声が聞こえるはずもない。

俺達は住む世界が違うのだから。

この1週間でわかったことがある。

俺の声は生きている人間には届かなくて

どうやら俺の魂は成仏せず、この現世において

彷徨いながら浮遊しているらしい。

もちろん俺の姿も生きている人間には映らないし、

俺が触ろうとするものも全て空気みたいに俺からすり抜けていく。

魂だけがフワフワと意識を持った状態で彷徨い続けているのだ。

「おとうちゃ、どこ?」

「おとうちゃんはね。今ここには居ないのよ。」

「どこ?」

「あなたの知らない世界に行ってしまったの。」

「とちょかん いきたいな。」

「承・・・」

GHOST「承・・・ごめんな。」

その言葉を耳にするなり

有子も俺もともに住む世界は違えども

声をあげ長い時間泣き続けるしかなかった。

つづく

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