2021年02月02日

ボンベレスダイブ94

 

「聞こえないのか?早くどけ。そこの坊主。」

 

プゥォーーン

 

まるで汽笛が鳴ったかと思う程の耳をつんざく高くて乾いた警音が、僕たちを襲った。

 

「和樹。いいか。何があっても、ここを動くな。」

 

「あいよ。」

 

そう言うと僕は、和樹をトラックの前に残し、運転席へと回る。

 

「おい。このトラックが見えないのか?いい加減にしないと、ひき殺すぞ。」

 

「殺せるならどうぞ。」

 

僕は、運転手に向かって冷静を装いながら言った。

 

「何ぃ?なんだ?おまえ。頭がおかしいのか?」

 

「お願いがあります。」

 

「はあ?」

 

「だから、お願いがあるんです。」

 

「トイレなら、あっちだ。あっち行け。邪魔だ。」

 

運転手は事務所に向かい指をさしていた。

 

「そんなんじゃない。」

 

「どけ。」「嫌です。」

 

「めんどくせえガキだな。」

 

「僕たちを、愛知県に連れて行ってほしいだけなんです。」

 

「はあ?やっぱり頭おかしいな。お前。」

 

「おかしくありません。」

 

「駄目だ。駄目だ。他を当たれ。」

 

運転手は、手刀を切って絶対、僕たちの要求には応じられないといった構えである。

 

「お願いします。」

 

「あいにく、馬鹿と付き合っていられるほど、俺は時間がねえんだよ。さあそこをどいた。どいた。」

 

「どきません。絶対。愛知県に乗せていってくれるまでは。」

 

「そんなの、電車なり、車なり使って行けばいいじゃないか?」

 

「お金が二万円しかないんです。」

 

「そんなこと、俺の知ったことか。お前の父ちゃんやら、母ちゃんに貰えばいいことだろうが。何で俺が面倒みなくちゃいけねえんだ。」

 

「僕たちには、父ちゃん、母ちゃんがいません。今朝、施設から抜け出してきたんです。」

 

苦し紛れに出た嘘だった。それを聞いた運転手の顔色が少し変わった。このチャンス、逃したら、僕たちの計画は全て無駄になってしまう。

 

「お願いします。愛知県にいる友達に会いにいきたいんです。」

 

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2021年01月30日

ボンベレスダイブ93

トラックの一台一台、いろんな地域のナンバープレートが存在した。

 

さらに奥に進んでいった先に事務所が存在し、隣接した駐車スペースには何台もの乗用車が所狭しと並んでいた。

 

次から次へトラックが到着したかと思うと運転手たちは、事務所に向かって歩いていき、

 

中に入ったかと思うと、しばらくして自分の持ち場である荷物置き場にトラックを縦列駐車させ、

 

順序よく手際よく山のように積んである荷物を荷台に積み込んでいた。

 

今まさに出ていかんとする運転手のハンドルさばきも確かに普段の慣れによって培った技術が生かされていて

 

運転するというよりかは、ハンドルを転がすといった表現が的確に当てはまるのだった。

 

僕たちは、轢かれそうになりながらも、必死になって目的とするトラックを探した。

 

「兄ちゃん、あれだ。」

 

和樹が、指をさした先には、今まさに出発を目前にした三河ナンバーのトラックがあった。

 

よくみると、その辺一角には、三河ナンバーゾーンが設けられていて、

 

愛知県へ出発することが推測されたが、止まっている他のトラックには、運転手の影もなく、いつ来るかもわからない状態だったこともあり、

 

このタイミングを逃したら、計画は全て水の泡になる恐れがあると思い僕たちはこの目の前のトラックに狙いをつけることにしたのだった。

 

運転手は、運行計画のようなものを見ていたかと思うと、隣りのダッシュボードの上に軽く放り投げ、

 

すばやくサイドブレーキを下ろした後、次の瞬間にはハンドルを大きく右に旋回していた。

 

出発である。

 

荒れ狂うような、エンジン音がマフラーからすさまじい響きとともに黒煙を発しながら、動き出していた。

 

「止まれ~止まれ~」

 

僕たちは、それを見るや大声を出しながら両手を広げ、そのトラックの前に向かい突進していった。

 

キイィィーーン

 

「気をつけろ。死にたいのか。このガキゃあぁーー!」

 

トラックは唸り声をあげて止まったかと思うと続けざま、中から運転手が顔を出し、怒り狂った罵声が矢のように飛んできた。

 

まさかこんなところに子供がいるなんて予測もつかなかったに違いない。

 

「すみませんっ。」

 

瞬時に謝った僕だったが、そのものすごい罵声に、縮み上がりそうになった。

 

トラックと僕たちとの距離はわずかに三十cm。

 

間一髪である。

 

一歩間違えたら、ここで僕たちは仏になっていた所だ。

 

「どけ。」

 

運転手が再度、怒鳴った。

 

ここでひるんではいけない。

 

交渉しないことには。せっかく早く起きてここまで色々やってきた意味がなくなってしまう。

 

 

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2021年01月27日

ボンベレスダイブ92

「どうだかな。それは、これからのなり行き一つだ。」

 

早朝だというのに、工場には活気があふれ、人の声が飛び交っていた。

 

僕たちが、到着した時には、もうすでに、いくつかのトラックが国道へと排出されていたのである。

 

「ここから、どうする?」入口付近を詮索するように注意深く見てみる。

 

「まず、あの守衛の目をくらまして工場内に侵入することが、第一関門だな。」

 

見ると、入り口の前に限られた箱型をした小さなスペースに一人の男が、椅子に座り

 

工場に出入りするトラックを監視しているのがわかる。

 

まるで番犬そのものだ。

 

僕たちは、しばらくの間、その場にたたずみ、うまくくぐりぬける方法を考えていた。

 

中から出てくる者。入っていく者。様々で、唯一共通していることは、

 

入り口にトラックを止めて、守衛がいるカウンターに置かれてあるノートに皆一様に記帳するのがどうもここの規定みたいだ。

 

「よし。これだ。」

 

僕がひらめいた方法は、次、中に入るトラックがあれば、しかも極力ロングボディーのものに限る。

 

もしそういったトラックが次入っていったら、トラックの影に隠れつつ、中に入るという計画をたてたのである。

 

それから五分くらい経った頃だろうか?

 

一台の超ロングボディーのトラックが入っていこうとして、

 

入り口にトラックを止め運転手はノートの所へと記帳しに向かったのである。

 

「今だ。」

 

その時を、僕たちは見逃さなかった。

 

すかさず守衛から死角になるトラックの陰に立ち僕たちは身を隠したのだった。

 

その後、三分くらいして運転手は、記帳を終えると運転席に戻り、

 

バタンッと大きな音で運転席のドアを閉め、ゆっくりとトラックを発進し始めようとしていた。

 

この絶妙なタイミングを逃すものか。

 

次の瞬間、僕たちは、守衛から陰になった事を承知のうえで思い切り工場に向かい走っていた。

 

選んだトラックが超ロングボディーだった事により、僕たちは楽に工場の敷地内に侵入することが出来たのだった。

 

やったぁ~。第一関門突破。

 

「さあ、次は三河ナンバーだ。」

 

僕たちは、駄々広い駐車場に潜入して、縦列駐車しているトラックのナンバープレートを注意深く見て回った。

 

まず最初に驚いたのはその工場と駐車場の大きさだった。

 

中でも、その駐車されているトラックの多さに度肝を抜かされた。

 

ゆうに五十台は下らないそのトラックの数に僕たちは、ぶったまげた。

 

普段は、工場の外からではあるが、大きいというイメージは認識していたが、

 

まさかここまでスケールがデカイとは思ってもいなかったことであり、

 

それはこれから僕たちがお願いするであろう申し出に快く承諾してくれるだろうという期待感を増幅するものであった。

 

千葉、茨城、大阪・・・

 

 

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2021年01月24日

ボンベレスダイブ91

 

「大丈夫か。そんなことやって。税関に見つかりはしねえか?」

 

「手足を縛って車のトランクに放り込んでおけば大丈夫だ。

 

見つかりっこねえ。どうだ。いいアイデアだろ。

 

それには窒息死しちまうと良くねえから空気孔を開けるようにだな向こうのバイヤーに言っておいて・・・」

 

得意満面な表情で言っているのが目に浮かぶ。

 

僕たちが手を洗っている手洗い場から壁一枚はさむ形で男2人は話していた。

 

僕たちは、それを聞いて驚きのあまり背筋が凍り付きそうだった。

 

膝はガクガクと震えて止まらなくなっている。

 

「和樹。」

 

僕は小さな声で言う。

 

和樹も僕と目を合わせ何も言わずにただ黙って頷く。

 

固唾を飲みこむと喉がゴボリと唸るように鳴った。

 

腰が抜けそうで歩くだけでも大変だったがフラフラしながらもなんとかバランスを整えることだけに集中して

 

僕たちは、この場から必死になって逃げることを考えた。

 

捕まると海外に売り飛ばされてしまう。

 

そうなると今回のことで父ちゃん母ちゃんとは今生の別れになってしまう。

 

絶対嫌だ。

 

ましてや和樹とは別々の国へそれぞれ別れて売り飛ばされ離ればなれになるかもしれない。

 

なんてことを考えると何が何でもこの場から逃げたかった。

 

失敗に終わってしまった。

 

まだ全然、愛知県に向けて進んではいない。

 

ここは僕たちの住んでいる所から目と鼻の先の地点である。

 

でも、もしこのまま人身売買されて、どこかの国へ売り飛ばされてたということを考えたら・・・

 

失敗でよかったんだとも思える。

 

「どうする?兄ちゃん。また元に戻ちゃったけど。」

 

和樹が力なく言う。

 

そんな時だった。突然、頭上に降るように僕は、ある名案が思いついたのだった。

 

「和樹、ちょっと、俺について来い。」

 

「どこ行くの?」

 

僕は和樹を誘導する。

 

「いいから、ついて来い。」

 

僕たちは国道から北西方向に向かい歩いていく。

 

もうすでに東の空が、明るくなっている。僕たちは、急いだ。

 

五百mも歩くと、違う国道が交差して現れた。

 

この国道は、今まで歩いてきた国道よりもトラックの往来が激しく、

 

高速道路などに通ずるジョイントの役目を果たしていた。

 

それを北へと少し歩いたところに目的とするものはあった。

 

「ああ、これは。」

 

そうである。そこは僕が、以前父ちゃんと歩いていた時に、愛知県に向かうトラックを見つけた工場である。

 

「兄ちゃん、頭いい。」

 

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2021年01月21日

ボンベレスダイブ90

「兄ちゃん、もう少し頑張ろうよ。」

 

このまま、何時間待っても、トラックが捕まらなかったらどうしよう?という不安も見え隠れしてくる。

 

やっぱり無理かな?と思い、一つ大きな溜息をついた時である。

 

キイーーーーン。ブレーキをかけて停まる一台の車。運転席の窓が開き、男が僕たちに話しかける。

 

「君たち、さっきドライブインに居なかったかい?」

 

「はい。居ましたけど。」

 

「やっぱりそうか。確か愛知県行きたいって言ってたよね?」

 

「そうです。えっ?愛知県まで乗せて行ってくれるんですか?」

 

「ああ。いいよ。俺の車でよかったら乗りなよ。」

 

半分諦めかけていた気持ちだったが、乗せて貰えるってことを聞いたことにより僕たちは消えかけていた元気が復活していた。

 

僕たちが喜んで後部座席に乗せてもらうと助手席にはもう一人の男が座っていた。

 

車がゆっくり動き出すと「よろしく。」と一言挨拶して、

 

2人の男は面白おかしく社内の雰囲気を明るくさせ時には冗談を言ったりして

 

僕たちを笑わせながら車中で僕たちは楽しい時間を過ごしたのだった。

 

それから走り出して20分くらい経過した時だ。

 

トイレ休憩するということになりドライブインに立ち寄ったのである。

 

我慢していたこともあり、僕たちは走ってトイレに駆け込んでいた。

 

20分くらい休憩するということだった。

 

トイレに行った後、隣接している土産物店へ行き、僕たちは試食のお菓子をバクバク食べ始めていた。

 

売店のおばちゃんが、僕たちがむさぼるように食べている姿を見て迷惑そうな顔をしている。

 

試食であるお菓子を一つまみすればいいのだが、

 

僕たちは片方の手一杯までお菓子を掴んで食べているのでケースの中に入っていたお菓子はアッと言う間に空っぽになっていた。

 

派手に食べていたこともあり僕たちの手はお菓子の粉末まみれになっている状態だった。

 

さすがに店のおばちゃんに、おしぼりを要求するといったあつかましいことはできなかったので、

 

僕たちは再度トイレに行き水道水で手を洗おうとしたのである。

 

「なあ、どうするよ。あのガキたち。せっかく捕まえたんだし何か利用でき手はねえかな?」

 

「人身売買するってのはどうだ?金になるって話だぜ。」

 

「いいな。それ。何しろ向こうからこっちにきたんだからな。飛んで火に入る夏の虫って訳だ。で、どうする?」

 

「愛知県行きたいって言ってただろ?行くようなふりして、とにかく北に進路を取るんだ。

 

な~にガキ達が途中で気付いたとしても、どうせ家出してきたろくでもねえガキどもだ。

 

世間から姿を眩ませたところで、困るわけでもねえし、どうってこたあねえよ。

 

港に行くと外国から国内で盗んできた高級車を買いに来てるバイヤーがいるだろ?

 

そいつらに話をもちかけるんだ。きっと奴らならガキ達を高く買ってくれるぜ。」

 

 

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南安城整骨院・接骨院のおもしろい院長ブログ

安城市にございます南安城整骨院では、院長がブログを配信中です。院内の出来事や治療の事、お体の事、あるいは日常のちょっとした出来事などを綴っておりますが、ご覧いただいている常連の患者様などからは、文学調で面白いとか、エッセイを読んでいるようだとの感想を頂戴しております。
単に痛みの話や交通事故治療の話を語り、南安城整骨院・接骨院にいらしてくださいというのではなく、どこか小説を読んでいるような面白さでございます。是非一度、ご覧いただき、院長の成りや人柄、考え方に触れていただければ幸いです。
整骨院・接骨院での治療は直接お体に触れ、患部の症状を和らげていきます。そのため、やはり施術する人がどんな人であるのかは、患者様の関心事でございます。ブログを見て、この人なら任せられると思った方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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