2020年12月14日

ボンベレスダイブ84

これによって判った事がある。

 

それは、父ちゃんは杉山という人物については、全く何も知らないということだ。

 

公園で父ちゃんと会わせようと企てたけど、

 

もし本当に会っていたなら

 

お互いに知らぬ存ぜぬで終わってしまっただけだったと思う。

 

一つの謎が解けたという程のものではないが、

 

ずっと気にしていた心の中にあるわだかまりが

 

一つ消えてくれたということが嬉しかった。

 

そうかあ~。

 

まだ、山田老人を殺したという犯人は捕まってないのか。

 

あの時、山田老人は突然公園で僕たちの前に現れてベンチに座り、

 

じっと僕たちを見ていた点が不可解である。

 

いつもはそんなことしないのに。

 

今までに無かった事だ。

 

一体、犯人はどうやって?どうやって山田老人を殺したというんだ?

 

僕は、あの場所で山田老人と挨拶を交わした。

 

それより前の三時間、山田老人は一体どこに行っていたというんだ?

 

痴呆になって徘徊でもしていたという事でもない限り理由にならない気がする。

 

痴呆・・・でもそれは違う。

 

はっきり言える。

 

僕と交わしたあの言葉は意識もハッキリしていたし、いつもどおりの老人の声だった。

 

年の割に太い張りのあるしっかりした声。

 

痴呆じゃなかったという事は誰よりも僕が一番よく知っている。

 

ならばなぜ?

 

一体どこへ?

 

到底解明も出来そうにないトリックを考えれば考える程、

 

犯人の巧妙な手口にまんまと嵌っていきそうな自分を感じる。

 

得体の知れない怪物に戦いを挑んでいる自分がいるのではないか?という気がしてならない。

 

目に見えない脅威というものが僕の中で不安を与え

 

一層謎の深みへと誘導しているのではないかという気分になる。

 

全く違った方向へと進んでいなければいいが・・・

 

それに最近、僕たちは、あの杉山という男に関して美化しすぎに考えているのかもしれない。

 

まだ山田老人の犯人が捕まっていないという事を、念頭において考えなければならないからだ。

 

和樹を水難事故から救ってくれたということは男は証拠不十分で釈放されたに違いない。

 

つまりそれなりの証拠が出てきたら捕まるという要素は多分にあるわけだ。

 

助けてもらっておいてこんなこと言うのは失礼極まりないが

 

男の本当の正体がわからない以上、

 

警戒しておくべきなことは確かなのである。

 

油断してはならない。

 

 

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2020年12月12日

ボンベレスダイブ83

「じゃあダメじゃないか。

 

つまり水筒にいくらリシンという猛毒物質が混入されてても死なないわけだから

 

水筒だけでは殺害への立証が出来ないというわけだよね?

 

じゃあ何?死因はべつな所にあるってこと?」

 

「どうやら山田さんの場合は、そうらしい。

 

ただ毒物が水筒に混入されてたという証拠はでてる訳だから、

 

誰かが殺そうと思ってたことは確かだ。」

 

冷静になって僕は考えてみる。

 

いったい何なんだ?

 

どういった方法で殺したというんだ?

 

山田老人はなぜ殺されたんだ。

 

動機は何なんだ。

 

僕は父ちゃんから聞かされたこの疑問を考えると

 

得体の知れない何かが泥沼へと僕たちをおびき寄せているような気がして

 

ますます不安な気持ちになっていくのだった。

 

「今は警察が血眼になって犯人を捜しているらしいんだ。」

 

「ふ~ん。まだ、犯人捕まってないんだね?」

 

「ああ、なんか容疑者を割り出すのに難攻してるらしい。

 

一人、それらしいのがいたみたいなんだが、証拠不十分で釈放されたらしい。」

 

僕はそれを聞いてギクリとした。

 

「へえ~そうなんだ。

 

それって違うとは思うけどあのラッパーじゃないよね?」

 

「違うよ。お前たちも父さんと一緒に見てたから知ってるじゃないか?

 

公園で。あの若いお兄さんがどうやっておじいさんを殺すことが出来ると言うんだ。」

 

「それもそうだね。誰かはわからないけど・・・早く捕まるといいね。」

 

「そうだな。」

 

と言いながら父ちゃんは、僕たちの部屋を出ようとしていた。

 

「そうそう、父ちゃん。」

 

僕は今しかないと思い父ちゃんに聞いてみる。

 

「ん?何だ?」

 

下へと戻ろうとしていた父ちゃんは僕の方へ振り向く。

 

「杉山 斉って人、知ってる?愛知県の日間賀島から来た人なんだけど。」

 

どうしても父ちゃんに聞きたかったことだ。

 

「愛知県?日間賀島?

 

そんな遠くから来てる人がいるのか?

 

知らないなあ。

 

杉山 斉?その人が、どうかしたのか?」

 

「いや、知らないならいいんだ。ちょっと気になっただけ・・・」

 

「あまり知らない人に関わるのは良くないぞ。

 

母さんがいつもお前たちに言ってるだろ?

 

へんな事件に巻きこまれるかもしれないからな。

 

誘拐でもされてみろ。大変なことだ。」

 

そう言いながら、父ちゃんは階段を下りていった。

 

「わかってるって。」

 

僕と和樹は、お互いの顔を見合って舌をペロリと出していた。

 

改めて言う事なのだが、

 

杉山と名乗る男は、何故父ちゃんの存在を気にしていたのか?

 

これは初めて公園で出会った時からの大きな謎なのである。

 

それを知るには父ちゃんから、男を知ってるか?ということを聞いておく必要があったのだ。

 

 

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2020年12月10日

ボンベレスダイブ82

少しの沈黙があり歩美が言った。

 

「承君。」

 

「ん?」

 

「いろいろごめんね。本当、感謝してる。ありがとう。」

 

「気にするなって。

 

何・・・?ってことはもうここへは帰ってこないってことか?」

 

「まだよくわからない。お母さんが決めたことだから。」

 

僕は歩美が何も言わずにここを離れて

 

生まれ育った日間賀島に帰ってしまったと言うことに

 

なんとなく寂しさを感じていた。

 

歩美の母親もあんなことがあった後だから

 

少し冷静になって頭を冷やして考えたいのかもしれない。

 

それ以上のことは話さず僕は電話をきり、子機を父ちゃんに返したのだった。

 

「元気そうだったじゃないか。歩美ちゃん。」

 

「うん。元気だった。あんなことがあった後だから心配したけど・・・。」

 

「今、歩美ちゃん。日間賀島に帰ってんのか?」

 

「そうなんだって・・・父ちゃん、行ったことあるの?」

 

「ああ。昔な。」

 

僕は元気になった歩美の声を聞けて少し安心していた。

 

「ところで、山田のおじいさんの事だけど、何か進展あったの?」

 

僕はその後、事件はどうなったのか気になっていた。

 

「ああ。あれか。父さんの友達に警察官がいてな。

 

その人に聞いたんだが、

 

なんでも水筒の中にリシンという猛毒物質が混入されていたらしい。」

 

「えっ?リシン?」

 

聞きなれない初めて耳にする名前に僕は困惑する。

 

やはりこういったことは父ちゃんに聞くのがいい。

 

一番よく知っている。

 

 

「ああ。どうやらそうらしい。

 

その物質はトウゴマという植物から作られるみたいなんだ。

 

今では観賞用として屋内に置かれている家も多く、

 

何でもその植物の種からひまし油という油がとれるらしくて、

 

これは最近では肌に潤いを保たせるというオーガニックオイルとして使われているみたいなんだ。

 

その時、精製される際の副産物から

 

どうやら微量だがそのリシンという猛毒が作られるということらしいんだな。これが。」

 

「それがあの山田のおじいさんの水筒に混入されてたってこと?」

 

「ああ。ただこのリシンって猛毒。

 

飲ませただけでは人が死ぬという致死量にはいかないみたいなんだ。

 

似たような事件が宇都宮であったみたいでな。

 

その事件は主婦が旦那を殺そうと思い酒に混入させたという事件だった。

 

でもただ飲ませたくらいでは死なせることは不可能で未遂に終わってしまったらしいんだ。

 

そのリシンという毒物・・・

 

水筒なんかで飲んだだけではどうやらダメらしい。

 

そりゃ大量に飲ませたら別だがな。

 

むしろ血中に取り込ませた方がいいって代物らしい。

 

そこで初めてそのリシンというものの毒性が発揮されるらしいんだ。

 

つまりリシンという毒物は注射でもされない限り死にはしないってこと。」

 

 

 

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2020年12月08日

ボンベレスダイブ81

その日の暴風雨は、昼正午くらいにピークに達し、

 

その後、しだいに勢力を弱め、夕方には何もなかったかのように静寂が訪れていた。

 

雲の間から夕日が淡いレーザービームとなって地上に直射し

 

何本もの光の帯が天空から放射状に大地へ降り注いで

 

斜めにはめ込まれた柱を形成していた。

 

どうやら、台風は東沿岸に抜け、

 

温帯低気圧にかわったみたいだ。

 

今日一日のうちに、天気が目まぐるしく変わり、

 

本当に台風だったのかという錯覚にさえ思えてくる。

 

テレビでは、台風十五号が残していった爪あとを

 

各地ごとに中継を交え報道していた。

 

損害額というものは、計り知れないものになるらしい。

 

そんな時、部屋のドアがノックされ父ちゃんが入ってきた。

 

「おい、承。歩美ちゃんから電話だぞ。」

 

そう言いながら、僕に子機を差し出す。

 

以前、味わった嫌な予感。

 

僕と和樹に緊張が走る。

 

「ねえ父ちゃん、歩美の声、元気そうだった?」

 

僕は思わず心配になり、

 

受話器を手で押さえ、小声で父ちゃんにそう尋ねていた。

 

「大丈夫だ。元気そうな声してる。」

 

父ちゃんも同じように小声になっている。

 

僕はそれを聞いて安心した。

 

「父ちゃん、お願いがあるんだ。」

 

「何だ?」

 

「今から、僕が電話で歩美と話している間中、

 

ずっとここにいて聞いていてほしいんだ。

 

この前みたいな惨事が、いつ起こるとも限らないし・・・」

 

「ああ、わかった。」

 

そう言いながら、父ちゃんは僕の隣にきて椅子に腰掛け準備万端な態勢をとっている。

 

素直に僕の頼みを聞き入れてくれるところをみると、

 

父ちゃんも歩美のことを、すごく心配しているとみえる。

 

和樹も今から僕の話す電話の内容に注意深く聞こうとしている。

 

僕は、一瞬どのように話し始めていいものか?困った。

 

唯一、頭の中にある考えは、努めて明るく振舞うこと。

 

ただ、それだけ。

 

「もしもし。」

 

恐る恐る受話器に向かい話しかけてみた。

 

「もしもし。」

 

意外に明るい歩美の声。

 

僕はそれを聞いた途端、緊張の糸が一気にほどけた。

 

僕はリストカットのことなんか全然気にしてないんだと

 

言わんばかりに努めて明るく振舞うことにした。

 

「歩美。どうした?」

 

僕は歩美に恐る恐る聞いてみる。

 

「私が急に居なくなったから承君たちすごく心配してるかなと思って。」

 

最近になって僕たちの周りであまりにも色んなことが起こっていたこともあったが、

 

元気そうな歩美の声が聞けることが何よりもうれしかった。

 

「ああ。すごく心配してたよ。どこか遠くに行ってるのか?」

 

「今、愛知県にいるの。お母さんが突然帰ろうというものだから。」

 

「と言うことは・・・」

 

「そう。今、愛知県の日間賀島。」

 

「愛知県?」

 

父ちゃんが驚いて僕を見つめている。

 

 

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2020年12月06日

ボンベレスダイブ80

 

結局、男がどういう人だったかも上手く掴みきれていない。

 

キャッチボールをしたいと何回も言っていたが、

 

愛知県からわざわざここまで来た本当の目的が

 

何であったのかも知らされていないままである。

 

そして何よりも男に向けて一番したかったことは、

 

もっとちゃんとした形で和樹を助けてくれた事へのお礼が言いたかった事だ。

 

命の恩人に向けて、このままで済ますわけには余りにも自分勝手な気がしてならない。

 

僕は、ポケットに仕舞ってあった名刺を取り出し、もう一度しっかり見た。

 

隣りにいる和樹と目があう。

 

僕がうなづくと和樹も同時にうなづいていた。

 

お互い無言のままうなずき合っていた。

 

和樹は僕のしようとしていることが、すでにわかっているようだ。

 

そうだ。

 

日間賀島。日間賀島なんだ。

 

全てを解決する糸口は絶対愛知県日間賀島にある。

 

愛知県日間賀島に行けば、きっと何かがわかるはず。

 

あくまでも感覚としてわかっている範囲だが。

 

それはまだちゃんとした形があるわけではない。

 

わかっているものなど何一つない。

 

得体の知れないものが目の前を覆い隠している状態にある。

 

だからこそ突きとめなければいけない要素は多分にある。

 

いろんな事柄がパズルの欠けらとなって散りばめられ頭の中を占拠し複雑にしている。

 

まずそれにはパズルの性質を充分わかったうえで

 

出来ることから一つ一つ着々とこなしていくしかない。

 

一気に事を解決に向けて進めるのではなしに。

 

それらは、やがて繋がりあい真実の形となって一つの形を形成し

 

やがては僕たちの目の前に本当の姿を現すに違いない。

 

日間賀島・・・

 

愛知県日間賀島に行けば・・・

 

きっと何かがわかるはず。

 

 激しく吹く雨風がいつまでも僕たちの周りを暴れ回っていた。

 

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南安城整骨院・接骨院のおもしろい院長ブログ

安城市にございます南安城整骨院では、院長がブログを配信中です。院内の出来事や治療の事、お体の事、あるいは日常のちょっとした出来事などを綴っておりますが、ご覧いただいている常連の患者様などからは、文学調で面白いとか、エッセイを読んでいるようだとの感想を頂戴しております。
単に痛みの話や交通事故治療の話を語り、南安城整骨院・接骨院にいらしてくださいというのではなく、どこか小説を読んでいるような面白さでございます。是非一度、ご覧いただき、院長の成りや人柄、考え方に触れていただければ幸いです。
整骨院・接骨院での治療は直接お体に触れ、患部の症状を和らげていきます。そのため、やはり施術する人がどんな人であるのかは、患者様の関心事でございます。ブログを見て、この人なら任せられると思った方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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