2021年04月15日

ボンベレスダイブ111

 

僕たちは、日間賀島へ向かう高速船にのっていた。

和樹と二人、甲板に立って海に向かい物思いにふけっていた。

船はそんな僕達に構う事無く波しぶきを高く巻きあげ、エンジンの重低音を響かせながら突き進んでいく。先ほど出発した師崎港が段々と遠くになるに従って知多半島が視界の右半分を覆うようになりその全体像が露になった。

事故のことがふと頭をよぎる。あまりの衝撃が大きかったため思い浮かべずにはいられない。そっとトラックの運転手を思い、半島に向け合掌してみる。

涙が頬を伝い、流れ落ちていた。

弟の復讐を思い浮かべ、今日まで生きていたのが何だったのだろう?さぞ無念に違いない。

隣りで一緒になって合掌している和樹をそっと見てみる。

もし僕があの植村だったとして、同じように弟であるこの和樹が亡くなったとしたら?

いや、駄目だ。とても考えたくない。ショックを通り越し見境もなく荒れ狂うだろう。

植村を銃撃した奴はいったい誰だったんだ?あの高架にいた男。車内から僕は確かに見えていた。あの男が、運転手のこめかみを狙ったのは紛れもなく確実な事・・・でもなぜ?駄目だ。全くわからない。

それにしても僕たちは、本当に生きていてよかった。よく助かったものだ。

奇跡的に近い形で運良く助かったといえる。

あの時、確かにトラックの車内では、とんでもない事が起こっていた。

時速百五十kmという猛スピードで走行していたトラックは銃撃を受け幾分減速したのだった。そして左へ進路をとったかと思うと左にあったガードレールに物凄い勢いでぶちあたっていった。「あぶないぃ。」ガシャーン!

僕たちはシートベルトをしていなかったこと。銃弾が当たったことにより、荒れ狂う風圧で、フロントガラス全体が、バリバリに割られて跡形もなく無くなってしまったこと。植村を避けるため素早く僕達は座席に前かがみになっていたこと。左のガードレールにトラックが、ちょうど斜め前から猛スピードで突っ込んでいたこと。これら全てが、ものの見事に功を奏して僕たちは奇跡的に助かったのである。このうちのどれが欠けていてもきっと駄目だった。確実に死んでいたといえる。

もしフロントガラスが割れずに残っていて座席から前かがみの状態で頭を強打していたら、あの猛スピードでは、たぶん僕たちは首の骨を折っていたと思う。そして折れた所が首の上の骨だったら大変な事になっていた。例えばハングマン骨折・・・そうその名の由来は絞首刑される囚人にこの骨折が多いからその名が付いたとされる。首の骨が過伸展つまり思い切り首を後ろに反る事により骨折が発生するものである。息が出来なくなるどころか僕たちは、とっくにお陀仏になっていた所だ。想像するだけでも、背筋を凍らせる。

ガードレールに当たった瞬間、弾みで僕たちはフロントガラスのあった所から車外に投げ出されていたのだった。

 

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