2021年02月20日

ボンベレスダイブ100

とうとうきたか。来るかも知れないとビクビクしながら待っていた悪い知らせ。この運転手のおやじ、僕たちを最初から誘拐して殺す目的で乗せていたんだ。やっぱりそうだったか。どいつもこいつも悪党ばかりだ。

さっきは上手く逃げ切れたが今回のケースではもう駄目になる確率が高い。この逃げ場の無い助手席に座らされている状況からして、そんな予感がしていたんだ。1回目の人身売買させられそうになった事といい今回の誘拐殺人といい、なんて僕たちはついてないんだ。結局、僕たちは死ぬ運命にあったということだ。なんと短い人生だったことか。そう思った瞬間、悲しい思いで胸が一杯になった。予想はしていた出来事ではあるが、実際に目前に迫っている死の存在を意識すると、いさぎよく死ぬという事は、かなり勇気のいる行為となる。でもこうなった以上仕方ない。決められた運命に従うまでだ。最初からあらかじめこうなるかもしれないと決めていた事だ。しかも自分たちが勝手に決めた事。これ以上執念深く生きるということに執着できない。胃のあたりでモヤモヤしていた軽い痛みのようなものが薄らいできたような気がする。諦めの境地というものに段々なっていくと共にブルブル震えていた体が度を越した度胸へと代わり怖さが徐々に消えていくように感じた。もうどうなろうと僕達がどうあがいたって運命は決まっている。最後は死だ。死しかないんだ。

なんなりとあんたの好きなように僕たちを煮るなり焼くなりして血祭りにあげるがいい。

体の内部に仕組まれた部品の一部が欠落したのかと自分でも思う程、ガタンガタンと錆びついた関節をきしませながら必要最低限の生命維持しているのが今の僕達の状況だった。怖がるだけ損な気がする。これ以上考えることは止めにしよう。もう怯えないし、ひるまない。怖さも消えた。

どうせやるなら、ひと思いに、一気に殺してくれってんだ。

「俺たちのボンベレスダイブは目的果たせぬまま死ぬ運命だった。それならそれでいい。」

そう僕は自分に向け心の中で呟いた時だった。

「と、もし俺が言ったら、どうする?」

なんだ。冗談かよ。おっさん。冗談にしては、きつい。「ふぅ~」という安心したため息が一気にもれた。今の言葉、今の僕たちには禁句中の禁句。あーびっくりした。脅かすなよ、全く。

「駄目じゃないか。こんな無茶な危ないことをしては。お前たちは、まだ若いんだからな。大切な将来が控えている。もっと自分を大切にしろ。わかったか?」そう言うと運転手のおやじは僕の肩をパシンッと勢いよく叩いたのだった。

「はい。」1発激しく活を入れられ弾むように僕達は助かったことの感謝を含め答えた。しばらく、沈黙が続いた。

トラックは、あれだけ渋滞していた首都高をようやく通り抜けようとしていた。

ここまで、高速にのってすでに二時間が経過しようとしている。

 

 

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