2020年06月26日

ボンベレスダイブ6

 

女の子は、もう駄目だと判断し、手に持っていたカメラを民家に向け、放り投げるという苦肉の策に出た。女の子からしてみたら無謀とも言える行動。でも仕方がない。そうするしか方法がないのだ。

放物線を描いたカメラは、壁の様な高い垣根を乗り越え何かは判らないある物に当たった。

ガチャーン!

低音のくぐもった陶器が割れるような音。

「こらあ~ゴールドキッズ・・・」

何やら、家の中から老人の声で、そんなふうに聞こえた気がした・・・が、そんな事を気にしている余裕などあるはずも無い。

[奴隷]森の中で男が言い放った言葉。

この時女の子は、この先あらゆるものに呪縛されることになるやもしれない恐怖にも似た危機感を感じ取っていて、虚脱による絶望感が彼女の体を、じわじわと満たし始めていた。

頬にあたる雨粒が、[お前は、そんな覚悟をもっているのか]と言わんばかりに横殴りに殴りつけ、意識朦朧となりつつある女の子の頭を、はっきりと覚醒させる。

さっきまで好意的に見ていた男の存在が、今では悪魔以外の何者でもない。

この場の状況からいえば、道行く先十m前方に、線路が横断する踏切があり、このまま行けば、その踏切に辿り着ける計算になる。

女の子にしてみたら他に逃げ場は有りそうにも無い。

カンカンカン

見ると警笛が鳴り響き、もうすぐ電車が横断しようとしているのが伺い知れる。

男との距離は三mくらいに迫ってきている。

背後に男の厭らしい息遣いが聞こえ、間近に迫る緊迫感が肌に鋭敏に伝わってくる。

「へっ、へっ、へっ」

背後で、男の不適に笑う笑い声が不気味にゾンビのように聞こえてくる。

線路の所まで行けば、女の子を封じ込められると判断した男の計算高いへら笑いであろう。

奴隷、奴隷・・・

奈落の底に叩きつけられたも同じである女の子の脳裏には、その言葉が、脳内全体を支配し、凄まじく嵐のように荒れ狂っている。

一瞬、男に背中を触られた感触があった。背部の感覚が鋭敏に伝播する。

仮にこの場所がサバンナであったと仮定するならば、男は疾風のように自由自在に駆け回るチーターそのものであり、女の子はというと逃げてはいるが、やがてチーターに捕まり牙をむかれ喉元を噛み砕かれた挙句、窒息死させられてしまう運命の持ち主、トムソンガゼル。

[あ~どうしよう。もう捕まってしまう。]奴隷、奴隷・・・

それでも、やっとの思いで女の子は走りきり、踏切まで辿り着く事となる。

 

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