2020年06月23日

ボンベレスダイブ5

 

でも逃げても逃げても男は追いかけてくる。決して諦めたりしない。男としても逃げられてしまう訳にはいかないので必死である。

あと少しで森を抜けられる。とにかく一生懸命走るしかない。

このまま走って、鬱蒼とした森を抜けさえすれば民家がある所に到着できることが、わかっている。そこへ逃げ込み助けを請うのだ。そうすれば何とかなる。そのためにはただガムシャラに獣道をひたすら走るしかない。

とはいえども所詮、女の子と男の競争。身体能力の差は歴然。そして屈しくも滑る地面が、女の子の重心のとらえどころをあやふやにさせ、男にとって捕まえやすい条件を提供しているようなもの。距離は段々と狭まってきているのは明らか。

歴然と力の差を見せ付けているよう。まるで女の子の助走が男の手の平で遊ばれているような、そんな状況と何ら変わりはしない。

さっきまで十m程だった距離は、すでに七mをきっている。

息が荒くなり足が痛くなってきている女の子の全身に雨粒は激しく襲い掛かっている。

最悪ともいえる洗礼。

ピカッ!ゴロゴロゴロゴロ!

耳をつんざくほどの雷鳴が静寂を切り裂き、女の子の逃げる気持ちを萎縮させる。体なんてものは大地に伝播した轟音が全身を突き上げ、眩い閃光が目の網膜を焼こうとしている。

そんな状況とはいえ、女の子は、どうにか走り切り、

頑張って森を抜け出す事が出来たのだった。

更に抜け出した先には、どんよりとした雲が辺り一面に広がる天空と両サイドには草が鬱蒼と生い茂る一本の野道が視界全体に広がっていた。やがて垣根のある民家が見えて来た。「あそこよ。私の行きたい所は。ようやく到着できるわ。」重心を低く保ち、足の踏み切りに更に弾みをつける。さあ着いた。到着だ。いやダメだ。不幸にもその民家の入口は真逆だった。こんな所で回り道なんてしてたら絶対男に捕まってしまう。これまた最悪の状況・・・軽い喪失感。失望感。男との差はもはや五m。女の子は素早く頭の回転を早め、どうしたものか瞬時に考え巡らす。他に道は、ないのか。[駄目。このペースなら民家に逃げ込む事自体とても出来そうにないわ。だって私が迷っている間にあの男に捕まってしまうもの。私の体全体、あの男の肩に担がれたら、それで終わり。どうしよう。]女の子の甘い考えはすぐさま暗雲が差し込み、全てが覆いつくされる。

ならば、

「お願い!誰かこの道を歩いていて!」

女の子は口に出し、拙にそう願う。

歩いている人がいれば、その人の胸に飛び込み、助けを請う事が出来るからだ。

しかし運命というものは、無情にもそんな女の子に不利に働いた。誰も行き交う人などいそうにない。

 

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