2020年06月20日

ボンベレスダイブ4

 

男は冷徹にも、気味悪い程に微笑みながら、女の子に言い放つ。そして念を押す。

奴隷・・・この言葉の意図するもの。

女の子はそれを言われた瞬間、どす黒く冷え切った絶望の淵へと沈み込んでいく事となる。

「あっはっはっは!」

突如、男は勝ち誇ったように森中に響き渡る声で、声高らかに笑い出す。

奴隷・・・

ぐるぐると、この言葉が女の子の頭の中を駆け巡り、旋回する。[こんなことになるなんて・・・どうしたらいいの?]女の子がそう思った瞬間である。空が一瞬、ピカッと光ったかと思った刹那、雷鳴が鳴り轟く。

ポツリ・・・ポツリ・・・

天を仰ぐと大きな雨粒が木立ちの間を通り抜け、女の子の頬にあたる。

雷が近づいている。

ひと雨きそうな、そんな予感。

「あーっ!」

その時である。突如、男が叫び声をあげた。

見ると、男の足下に二mはあろうかと思う程の大蛇が、躍動感漲らせ、荒れ狂いながら男の右足に噛み付いていた。

蛇は男に縄張りを荒らされたかで、足に激しく噛み付いてなかなか離れようとしない。

「くそぉっー」

男は苛立ち混じりに、そう言うと怯んだ拍子に手に持っていたカメラを地面に落としてしまう。呪縛を解かれ、晴れて自由の身となったそのカメラは、まるで喜びはしゃぐ子供のように地面にコロコロ転げ回る。

雨も手伝ってか、男は完全に重心を失い、その場に倒れる他なかった。さっきの勝ち名乗りもどこへやら、実に無様な格好の男が一人、地面に四つんばいになり、ひれ伏していた。

チャンス。女の子は、慌ててその状況を見るや、カメラを拾い上げ一目散に走っていた。

今日は野外で撮って貰う初めての撮影会。[中学生最後の記念として君のカメラで綺麗に撮ってあげようと言ってくれたから応じたのに、こんな事になるなんて・・・]

知人である男という気の緩み。取り返しのつかない青春。溢れ出す絶望感。

女の子はそれら全部を抱きかかえ、全速力で一心不乱に走った。そして逃げた。

不運にも降り出した雨によって地面が滑りやすくなっている。

ピチョッピチョッピチョッ!

雨が次第に大粒になり、音の間隔も段々と短くなる。大雨になるのは確実である。

「まてぇ!こらぁ!」

そう言いながら、男が追いかけてくる。女の子は後ろを振り向くと、距離にしておよそ十m程度の距離がひらいているのが確認できる。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

GHOST 本購入はこちら

世直しドクター 本購入はこちら

Facebookはこちら

アメブロはこちら

住所:愛知県安城市日の出町2-20

公共機関:名鉄西尾線 南安城駅 徒歩3分
JR 安城駅 徒歩10分
安城市内循環あんくるバス0番
「日の出」バス停留所より徒歩0分

TEL:0566-45-5427

メールでのお問合せはこちら
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

治療や料金について 患者様からの声
ページの先頭へ