2020年03月22日

GHOST 第4話

 

我々が住んでいる4階の建物の隣には

美容室がある。

いつも背の高い茶髪の寺沢という名の若い男が

仕事の合間を見つけては外に出て花壇に水をやっていたりする。

今日も我々が横を通り過ぎようとした時も

曇り空なのに律儀にも花壇へ向けて水をあげている最中だった。

彼はこの美容室のオーナーである。

メイン道路から外れて細道を行った先にこの美容室は存在する。

立地条件はそれほど良くないのだが

それでもこの辺のちまたでは結構有名な美容室で

従業員を何名も従えていて

とても繁盛している美容室なのである。

我々が図書館へ行くには、十数軒もの家を迂回して大通りに出ないと行くことが出来ない。

美容室の前にある民家との間に道が存在せず

民家がかなり美容室よりにせせり出ているがために

十数軒の家々を我々は回って迂回しなくてはいけなかった。

でも美容室の庭を横切ることによりその問題は解消され

随分ショートカットすることができ時間短縮になるのだった。

最初の頃は遠回りして図書館へと行っていたのだが、

それを見かねた寺沢の方から

「うちの庭をどうぞ。

遠慮は要りませんから通ってください」

との提案があった訳である。

結局はその言葉に甘えさせてもらって

いつも週末になると美容室の庭を通り図書館へと通わせてもらっていた。

そんな寺沢も我々と話せるということが嬉しかったようで

美容室の庭を我々が通るたび、いつも話しかけてくるのだった。

今日のような雨になりそうな日であっても

もうすぐ雨で濡れる為、草花に水やりなんか無駄だと普通なら思うのだが

でも寺沢はそんなこと一向に考えず

惜しみなく色んなものに寺沢は手間暇かけて愛情を注ぐのである。

そのへんの細やかな心配りが美容室を繁盛させてる所以なのであろう。

「図書館ですか。」

こちらの週末の行動パターンをよく知っている。

「そうです。いつもこれをささやかながら楽しみにしているんでね。」

「いいですね。親子仲良くて。」

屈託のない笑顔が我々親子に対する好意の表れであり

我々とあいさつをすることが

いつもとても楽しみにしているといった感情を与えてくれる。

同じように寺沢のそういった行為によって我々もさらに元気をもらえているようなものだった。

俺に向け軽くあいさつしてくれると

「承くん、どこ行くの?」とあえて知らないふりをして息子に尋ねて

コミュニケーションをはかろうとする。

さすが社交的な素振りが板についていてサービス業の鏡のような存在である。

「おとうちゃと・・・ぼくと・・・とちょかん・・・今から・・・ゆく。」

承もその行為に真剣になって受け応える。

「そうか図書館行くのか。いいな。おじさんも承くんと一緒に行きたくなってきたな。」

我が子同然のように親しくして可愛がってくれているのがその場の雰囲気を和ませてくれる。

寺沢に、しばしの別れを告げ、さらに美容室の庭を通り抜け突き進むと

小規模ではあるが草花が群生している場所があり

ちょうどその真ん中を突き抜ける形で道が存在していて

それをさらに進むと

遮断機のない人一人が通れるような踏切に突き当たるのである。

そこを通り抜けないと目的地である図書館には辿りつけないことになっている。

カンカンカン。

今まさに電車が来ようとしていて、

けたたましい音を周囲に向け響かせているのだった。

つづく

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