2020年01月06日

世直しドクター 

 

 

数回に及ぶ急ブレーキの嫌がらせ。

それに連動して後続の運転者に不安をあおらせる悪質なブレーキランプの点滅。

かと思いきや左から右、右から左に蛇行する妨害運転。

今まさに追従する後続車1台に対し

前を走行している車が攻撃をし困らせている最中だった。

つい先ほどまで後ろにピタッと幅寄せして接近し、

あおり運転をしかけていたが

どうやらそれでは当人の腹の虫がおさまらなかったらしい。

強引に車を追い抜いて前に出たかと思いきや

冒頭に書いたような嫌がらせを後続車一台に向け

執拗にし続けていたのである。

被害者にとっては、いたって普通に走行していたつもりだが、

加害者にとっては気にくわなかった運転技術の何かがきっとあったのだろう。

道路脇に無理矢理に後続車を停めさせようとしている。

被害者からすればこの先何をされるか怖いので

関わりを持ちたくないという気持ちが全面に出て車を追い抜こうとするのだが

前の車が荒い蛇行運転で行き先を阻もうとしているので車を抜こうにも抜けない。

ならばゆっくりと低速運転をして

前の車との距離を離してやり過ごそうとするのだが

向こうもそれに応じて低速になる。

その逆で速度を上げて追い抜こうとすれば

向こうも同じように速度を上げて蛇行運転をして、行く手を阻む。

そんなやりとりが数回繰り返されただろうか・・・

ここはひとまず相手の気が済むように従うしかない。

とうとう強引に道路脇に停めさせられることになる。

助手席から女が降りてきて

手に持っていたスマホを取り出し停車させられた後続の車に向け動画撮影している。

どういった心境なのだろう?普通の血の通った人間のすることとはとても思えない。

そのあと前の車の運転席から勢いよくドアが開いたかと思うと

男がしっかりとした足取りでこちらに向けて近づいて来る。

「おらぁ。

どこ見てんだこの野郎。

なめんじゃねぇぞ。」

突然の怒号に運転者は戸惑ってしまう。

どうすべきか?

男はずんずん進んでくる。

えっ?殺されるのか?

まさにパニック状態。

何を思ったのか運転者はとっさの判断が出来ず運転席の窓を開けてしまう。

そうしないと相手の怒りを増幅させるのではないかと瞬時に考えての判断なのだろう。

運悪くいきなり胸ぐらを掴まれたかと思った瞬間、

思い切り運転手の男の顔面めがけ殴りかかってくる。

1発目で右頬を殴られ

2発目のパンチで肩

3発目で首

どうやら的が意識している所よりもかなり外れているようだ。

「キィーン。」

その数秒後である。何やら後方でブレーキの音。

後続車の後ろ、つまり2台の車の一番後方に

アストンマーチンが滑り込むように停まる。

「鷹之やめときなさいよ。

遅れちゃうわよ。

今日当直あるんでしょ?」

中から男が下りてくると跡を追うように助手席から女性の声。

(しまった。自分は今まさにあたり屋に捕まってしまって標的にされているんだ。)

運転者の男は思う。

「いいから。いいから。

俺はこういうの見ると放っておけねえんだ。」

そう言うと鷹之が殴っている男の方へ全速力で走っていく。

そのままタックルでもして男を突き飛ばすのかと思いきや

殴っている男の前でピタリと止まり

横に来て何も言わずに、つっ立っている。

この挙動不審な行動はやはりあたり屋の一味?

「何だ。オメエ。」

殴っている男が気配に気付くと今来た隣りにいる鷹之に向け問いかける。

「・・・」

応じる事もなくただ黙ったまま。

殴っている男の顔をジッと見ているだけである。

何を考えているのだろう?いったい何がしたいのだろう?

「気持ち悪いんだよ。この変態野郎。」と言うと同時に男の拳がとんでくる。

無言で隣りに立たれているのがかなり煩わしかったのだろう。

どうやらあたり屋のグループではなかったみたいだ。

殴っている男が無言で隣りに立っている鷹之に

いきなり攻撃の矛先を変える。

男の放ったパンチは見事に鷹之の右頬をとらえ一発殴られてしまう。

殴られてふらつくどころかかえって全身に闘志をみなぎらせたみたいだ。

手出さず、助けもせず・・・いったいこの鷹之と言われている男は何がしたいのだろう?

「よし。これで正当防衛成立だな。」

「なんだ、お前。ちゃんとしゃべれるじゃねえか。」

どうやら鷹之はこれを狙っていたみたいだ。

「助けて下さい。」

殴られている男の車の助手席から女の声がする。

「ほら見ろ。かわいそうに。こんなに怯えてるじゃねぇか。」

「うるせえ・・・」と男が言うのが早いか鷹之がすばやく男を突き飛ばすのが早いか

微妙なズレで2つのことがほぼ同時に生じることとなる。

「おい。何しやがる。」

男の言う事は完全無視である。

「ネエチャン怖かったか。俺が来たからにはもう大丈夫だからな。」

「おい。俺の言うこと聞いてんのか。すかしてんじゃねえぞ。テメエ。」

尚も男については無視したまま被害者の車に向けて関心は続く。

「お~お。兄ちゃん大丈夫か。こんなに怯えて。

一番怖い思いしたのは兄ちゃんだもんな。もう俺が来たから安心しろ。

これから俺がこいつを懲らしめてやるから。」

「なにを~。俺を馬鹿にしやがって。

さっきからおいっってんだろ。聞こえねえのか。」

「うるせえんだよ。あほんだら。

馬鹿な犬みたいにほざきやがって。」

ようやく男に向けて言い放つ。

「なんだてめえ。俺とやるってぇのか。ああ?」

「そんなに言うならかかってこい。相手になってやる。

どれくらいお前が弱いのか品定めしてやる。」

「なめた口聞くんじゃねえ。」

男は怒りの導火線に完全に火が点いたようだ。

男が鷹之に向け突進する。

先程のすんなりと殴られてしまったのとは違って

鷹之は微動だにせず男を受け止めると

下に回した手で胸ぐらを掴んだかと思うと

右腕だけで持ち上げて男を宙に浮かせる。

驚いた男は苦しそうに足をバタバタバタとバタつかせている。

鷹之は暴れている男に向け

「おい、半グレ。いいか。よく聞け。

人を脅すんなら、それなりに腕磨け。

これはな子供の喧嘩じゃねえんだ。

お前のパンチなんて痛くも痒くもねえんだよ。

重さも速さもあったもんじゃねえ。」

「うるせえ。ほざくな。ボケ。殴られておいてその言い訳はなんだ。笑わせるな。」

「そうか。そこまで言うなら次は俺の番だな。覚悟しろよ。」

鷹之の目つきが鷹のように瞬時に鋭くなる。

「手加減しねえからな。ぼんくら。

ほんとの喧嘩殺法ってのはな。いいか。こうしてやるんだよ。よく体に叩き込んでおけ。」

鷹之が手を緩めて宙に浮いていた男が地上に下りてくる。

そこですかさず鷹之は膝蹴りを男の腹に食らわし男が前傾姿勢になった所で

顔めがけ2、3発左右左と目にも止まらぬ速さで連打する。

あまりの素早さに今、何が起こっているのか動体視力がついていかない。

男がまだ前傾姿勢のままになっているところへ

上から首または後頭部のあたりめがけ即座に肘鉄食らわす。

ウヴッとうめき声をあげたかと思うと

男はその場に倒れ込んで気絶してしまう。

ほぼ一分もかからず男は倒れる形となる。

「なんだもう終わりか。全然大したことねえんだな。

口ほどにもない奴め。よくこんなんで人に殴りかかっていこうとするもんだ。

呆れて物が言えねえや。」

ギロリと視線をスマホで撮影している女性に向けると

一段と睨みを効かす。

「あんたも馬鹿みたいにスマホでいつまでも動画撮ってんじゃねえ。」

「ひぇぇぇ~。」

女は逃げるように男が気絶して倒れていることなどお構いなく車に戻って隠れてしまう。

鷹之は被害者の男性に向け

「兄ちゃんドライブレコーダーに今の録画してあんだろ?

それ持って警察行きな。きっと警察は力になってくれると思うぜ。

その前にアンタの手当てしねえとな。」

「いえ僕は大丈夫です。

家に帰ったらコイツが手当てしてくれますから。看護師ですので。」

被害者の男性は手で右頬を押さえながら鷹之に言う。

さっきから隣りで彼女が殴られた男の顔を心配そうに見ている。

「そっか。手当てしてくれる人が隣りにいるならな。

じゃあ安心だ。ネエチャンしっかり手当てしてやんなよ。」

「はい。わかりました。助けて下さってどうもありがとうございました。

このお礼はどうお返ししたらいいか。」

「いいってことよ。そんなの。後々めんどくせえことは俺は嫌いだ。

その気持ちだけで俺は充分。ありがたく受け取っておくよ。

その代わり俺の映ってるところだけ警察に見せるのは勘弁な。頼むぜ。じゃあな。」

そう言うと前の車に行き

「いいか。おばさんよぉ。

次、俺の前でこんなことやってるの見たら今度こそ許さねえからな。

男にも伝えておけ。」

そう言うと自分の車に戻り

「ブゥォォォーン!!!」

爆音を響かせながらアストンマーチンがその場をあとにしたのだった。

ここは名古屋大学付属病院の救急処置室である。

「先生、今から喧嘩による被害に遭われた患者さんが救急車で運ばれてきます。」

事務員が処置室に現れ、もうすでに待機しているドクターにそれを伝える。

「はいよ。」

ドクターは焦りも無く

あらかじめそんなの百も承知といった落ち着きぶりである。

救急車が到着するとともに

「いてぇーいてぇー」

と院内に響き渡るほどの大声で叫び狂っている男が運ばれてくる。

「うるせぇ。静かにしろ。見かけだけのヘボ野郎。」

当直医師が痛がっている男に向け怒鳴る。

狂ったように叫んでいた患者だったが

ドクターの突拍子もない意外な言葉に驚き

薄目を開けながらドクターの顔をチラリと見る。

次の瞬間、心臓が飛び出るほどの驚きをみせ

薄目にしていた目を見開くこととなる。

「お、お前なんでここに。」

「俺がここにいちゃ悪いか。いいだろ。別に。」

「お前、い、いったい、いったい何者なんだ。」

「俺か?俺はここの卒業生で今夜はここで当直を頼まれたから来てやってんだ。

文句あっか。実はお前がくるかと思って待ってたんだ。このごろつき野郎。

おそらくさっきの所からここの病院が一番近いからな。

お前がきっとここに来るに違いないと思ってたんだ。

そしたらドンピシャだ。

ついでにキャンキャン騒いでやって来るだろうと思いきや全くその通り。

想像した通りのあほんだらだな、お前は。」

「あら、先生。また大暴れしたの。」

それを横で聞いていた看護師長が動揺することもなく受け流す。

「あなたも運が悪かったわね。

この先生は治療はさることながら武闘派としても大変有名なんだから。」

師長は少しくらいは同情しながらも

感情とは全く逆に微笑みながら男に向け諭している。

「なあいいか。そこのぼんくら。よく聞いておけ。

世の中にはテメエより強ええ奴なんてごまんといるもんだ。

力には力で封じ込める。この力の世の中ってもんはよ。

お前さんの考えているような甘っちょろいもんとは訳が違う。

その時はそれで済めばいいが

さらに上には上がいて力がさらに上の奴が現れて尚も力によって封じ込める。

この力が支配する世界ってえ所はつまりは天井知らずって訳だ。

結局は果てしなくヤクザ同士の抗争みたいに永遠と続くんだよ。

お前みたいに俺に簡単に倒されてるようなヘボじゃ

この先危なっかしくて仕方ねえや。

おてんとさんの前でそれなりの見栄を張るなら

度胸とそれにみあった技が必要なんだよ。

お前は馬鹿だから人一倍の度胸はあるみてえだが技が全然ねえ。

それにだ。単独で切り込みを決めようってもんなら遺書でも書いとけ。」

「なんでだよ。」

随分と大人しくなったものである。

さっきまで騒いでいた元気はどこへやらといったところである。

「相当な馬鹿チンだな。お前は。そんなこともわからねえのか。

お前ごとき一人の馬鹿が死のうが生きようがどうなってもいいが残された者の身になってみろ。

お前、子供いるんだろ?大黒柱の父ちゃんが急に居なくなってみろ。

子供にとっちゃあ淋しいもんだ。

それが嫌なら、もう2度とあおり運転して暴行するんじゃねえ。

意気がりたいならいつ死んでもいいように用意しとけって言ってんだ。

わかったか。

それが嫌なら家庭を持つんじゃねえ。」

「お前はどうなんだよ?」

「俺か?俺はあいにく一人者だし、いつ死んでもいいと思ってる。

それくらいの度胸と覚悟がなきゃダメだってことだ。

いいな。今度お前のその蚊を叩いても死なねえようなパンチで

弱い奴殴ってるの見つけたら俺がただじゃおかねえからな。

わかったら、もう帰んな。」

「なんだよ。薬でもくれねえのかよ。」

弱々しい声になりながら男は懇願する。

「お前みたいに風が吹いただけでも痛がる奴に

飲ませてやれる薬はあいにくここにはねえんだ。

わかったら、とっとと帰るんだ。

それが嫌なら、テメエの尻にぶっとい針刺して注射でもしてやろうか。」

「ち、ちくしょう。覚えてやがれ。」

男はスッと立ち上がるとまるで何も無かったようにその場から逃げる。

「はっはっは。」

逃げて行く男を見て鷹之は笑わずにはいられなかった。

「おーい、しっかりズボン履いてベルトを締めろ。

今のままじゃパンツ見えてっぞ。

おい。何してんだ。

見たくもねえ汚ない半ケツ出すなって。

はっはっは。

こりゃいいや。アホ丸出しの馬鹿がここにいる。」

いつまでも鷹之の笑い声が院内に響いているのであった。

「はっはっは。」

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