2020年02月16日

世直しドクター オレオレ詐欺編 第6話

「馬鹿やろう。1億円をその人はどれだけ苦労して貯めてきたのか

お前は考えたことあるのか?

1億なんて大金はそう簡単に1代で貯めれるものじゃあない。

先代から脈々と受け継がれて蓄えられてきたかもしれない財産が

今日に至るケースだってある。

それをお前みたいな赤の他人が

その一族の歴史を断ち切るように奪い去ったかもしれないんだ。

もちろんそれだけじゃあない。

その人が毎日毎日雨が降ろうが風が吹こうが

来る日も来る日も必死になって働いて

ひたすらコツコツと大切に貯めてきた金であったりする。

お前らが一生掛かったって稼げない金を

その人は浪費するのも我慢して必死になって今まで働き続けてきたんだよ。

その金を騙して、お前らはいとも簡単に手にいれやがっった。

そんな生き方してると必ずバチというものがあたるようになってる。

悪は必ず滅びるようになってんだ。

ここまでお前らは、うまくすり抜けて来られたかもしれねえが

今までは単なる運のつきでしかなかったんだぞ。

運のつきはそう長くは続かねえ。

悪いことは言わない。

この先のことを考えて危なっかしい橋を渡らず

安定した道を選べ。」

俺はかけ子の男に対して思いの丈をぶちまける。

「偉そうに言うじゃねえか。じゃあ聞くが正義っていったいなんなんだ。

悪っていったいなんなんだ。

これでも俺は若いころは地道にコツコツと働いてきたさ。

人様が言うように「ちゃんと働く。そうすればいいことが訪れる。」ということを信じてな。

でもちゃんと働いていても給料から上前は撥ねられるしサービス残業になるしで

俺の様な下っ端な人間にはロクな待遇すら与えてもらえなかった。。

世間様の言うように全然「ちゃんとする」って感じじゃなかった。

むしろピンはねしていきやがった上の奴らのほうが上機嫌でいやがったもんさ。

奴らは法の目をすり抜けてるだけで悪どさに関して言えば

今の俺達のしていることにさほど変わらない。むしろ匹敵すると言ってもいい。

それを俺は悔しい思いで眺めるしかなかった。

その時、俺は思ったんだ。正義っていったいなんなんだ。

悪っていったいなんなんだと。

結局は強くないとそれは正義ではなくなってしまう。

ちゃんとしてても金を持ってないと悪になり下がる。

社会から汚ない手を使ってでも勝たないと

俺達みたいなもんは悪と見なされちまうんだよ。

すなわちどんな手段を使ったって

勝てば評価に値するだけの恩賞がもらえるってわけだ。

この社会ってもんは、そういった歪んだ秩序の名のもとに成り立っている。

悪でも勝つと正義になる。たとえ正義でも勝たないと悪とされる。

何も無い正直な腰抜けほどすぐ負けて濡れ衣を着せられ悪となり

図太い奴らほど知恵が回って勝ち抜いて正義となっていく。

正直者が損をして役立たずの悪となることを

おのずとこの世の中の仕組みはそうなっているんだよ。

それが本当の正義の実態じゃないのか。」

そう言うとかけ子は俺に詰め寄る。

つづく

yjimage.jp

 

 

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2020年02月13日

世直しドクター オレオレ詐欺編 第5話

目が覚めるとまず真っ先にズキンとくる走るような痛みが頭を襲う。

慌てて手で押さえようとするが

体の後ろで両手を縄のようなもので縛られているので手で頭を押さえられない。

椅子に座らされている。

隣にも同じようにされている女性が・・・

目を閉じてピクリとも動かない。

開けたままになっている扉の向こうには小さなベッドがあり

赤ん坊が寝息をたててスヤスヤと眠っている。

「気づいたようだな。」亭主とされる男が俺に言う。

「お前、自分の妻に何をした?」

「ん?いいだろ。別に。自分の女房に何したって。死のうが生きようが俺の思うがままだ。」

それぞれ3人の男が椅子、ソファとバラバラに座りながらこちらをみている。

意識が徐々にはっきりしてきて現在の状況がようやくつかめてくる。

「やっと親玉、かけ子、受け子と役者が揃ったようだな。」

俺はアゴでしゃくってみせ

「あんたが親玉のろくでなし亭主だろ。ここの場所を提供しているからな。

そしてさっきトイレに行っていたお前がかけ子。

そして後から来た俺をバットで殴ったお前が受け子。」

「うるせえ。だまれ。」

「むきになるところを見ると図星のようだな。」

「お前いったいなんなんだ。うちの女房に近づいてきて。」

「馬鹿言うな。向こうから相談しにきたんだ。そして俺が話しを聞いてやったという訳さ。」

「いい気なもんだぜ。

図々しくも好き勝手に俺達のなかに首を突っ込みやがって。

相当ひま人なんだな。お前。

仕事は何やってんだ。」

「さっき言った事もう忘れたのか。このボケ。何度も聞くな。俺は世直し請負人。」

「ふざけやがって。この野郎。」

「アニキ、どうします?コイツ。コンクリ詰めて名古屋港に沈めてやりましょうか?」

「まあ待て。」

「いいか。おい。よく聞け。

あんたにはあの向こうの部屋でスヤスヤ寝ている子が大人になるまで

しっかりと面倒みていかなくちゃいけないという親としての責任があるんだぞ。

それをわかっているのか。

さっき自分の女房に散々言われたことも忘れちまったのか。」

「・・・」

「アニキ、どうした?女房、子供のことを言われると

まるで骨抜きされたみたいに腑抜けちまって。もうちょっとしっかりしろよ。

まさかコイツの言うことをマジで信じてるってことはないよな?」

かけ子の男が口をはさむ。

さすがに自分の女房、子供のことを出されると困るらしく

リーダー格の男は肩をすくめて小さくなっている。

[ちっ!!腰抜けが・・・」

舌打ちした後、聞こえるか聞こえないか程度の小声でぼやく。

続いて俺の方に顔を向け

「おい。世直し請負人とやら。

金を掴むということがどれほど大変かわかっているからこそ

こうして俺達は悪どい事をしてでも逃げに回っているんだ。

言っとくがな。

こうしなければ俺達が生きていくことができない世の中に必然的になってんだよ。

まったく・・・

いったいそれは誰がした?と言いたくなるぜ。

考えてもみろ。

サラリーマンが苦労して一年でようやく稼ぐことが出来る金を

俺達はわずか1時間で稼ぐことが出来るんだ。

コツコツ稼ぐことがどんなにアホらしいことか。

この前なんかどこにも身寄りもねえ寂しそうにしているババアだったが

ありもしねえ法律ちらつかせ騙してやったら

1億円を数回に分けてポンッポンッポンッと出しやがったよ。

これを聞いてどう思う?俺達ばかりが悪いのか?

金を払う側にも非が無いとは決して言えないとは思うがな。

この世の中はチンタラしてると

いつ生き馬の目を抜かれるとも限らない世の中だ。

それを俺達は油断してるアホな奴に世の中はそんなに甘くねえってことを教えてるだけよ。

だけどよ。金を持ってるもんだな。年寄りってもんは。全く驚くぜ。

それでこそ騙し甲斐があるってもんだ。

宝くじ買うよりも比べ物にならねえくらい確率が高い。

こんなおもしれえ仕事。他にあるか?

最高じゃねえか。俺達は簡単に夢を掴むことが出来るんだ。

これのどこが悪い。

俺達に騙される馬鹿が悪いんだよ。馬鹿が。」

呆れるほど開き直っていて

なんら悪びれる様子もなくシャアシャアと話すこの冷酷な男に対して

俺は感情を抑えることが出来ず怒りが沸点に達し

身ぶるいせずにはいられなかった。

つづく

mig

 

 

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2020年02月07日

世直しドクター オレオレ詐欺編 第4話

 

眠そうにしている赤ん坊をひとまずベッドに寝かしつけ

静かになったところで俺に小声で言う。

「ここです。この部屋なんです。」

家に到着した俺は中へと通され

男たちが籠もっているという部屋の前へと案内されていた。

そっと近づいていってドアに耳をあてて聞いてみる。

たしかに今まさに話し声はするが何を話しているのか

詳細までは聞きとれない。

言えることは誰かに話しかけているということのみ。

この扉はかなり頑丈な作りになっていて

隙間は何かで塞がれ

あまり音が外に漏れないような構造になっている。

そんな時である。

「カチッ」

ドアにつけてある鍵がはずれる音。

「ギィーーー。」

そしてドアがゆっくりと開かれる。

急いで俺たちは扉の背後に身を隠す。

一人の男が出て来てトイレの方向へと歩いていくようだ。

その間、扉は開いたまま。

チャンス。今だ。

音をさせず奥さんと一緒に忍び足で部屋の中に入ってみる。

事務机が3台置かれている。

机の上には1万円の札束が乱雑に積み重ねてあり

他にはポテトチップスの食べかけの袋、

タバコの吸い殻で一杯になった灰皿、

コーラの飲みかけの瓶、

ビールの空き缶など

雑然と色んな物がひしめきあって生活感を漂わせている。

配置としては入り口の対面に大きな窓があり

それに並列に2台の事務机が向かい合うように置いてあって

窓と向かい合う形で2台の事務机の横に1台。

他のものより大きめの事務机が配置されている。

壁に沿わせるように3つのソファがそれぞれにあり

そこで疲れた時などに男たちが

それぞれ仮眠をとるような配置になっているのが

一目瞭然でわかった。

窓に面した部屋の角には

中陰台が置かれその上に小さな桐の箱が置かれていた。

全体的にこの部屋はかなり余計なものを、そぎ落としたシンプルなものになっている。

部屋の大きさからして23~25畳といったところだろうか

一つの部屋にしては十分過ぎるほどのスペースがあり

全体を通してゆったりとした空間が部屋中に広がっていた。

その中の1台つまり若干大きめの机に

1人の男がこちらに背中を向ける形で座っている。

どうやら今この部屋にはこの男一人のようだ。

椅子にもたれながら男の両足は

ごみ化したさまざまな物をよけるように

窓へと向かう形で机の上に乱暴に投げ出され

携帯電話を耳にあてタバコを吸いながら

リラックスして通話相手と話すのに夢中になっている。

背中を向けているので俺達の存在には全然気付いていない。

「・・・それでさあ。おばあちゃん。あと500万円でいいから用意しておいてくれないかな。

もうこれが最後だから。これ以上請求されるってことはないと思うから。

頼むよ。俺にはおばあちゃんだけが頼りなんだよ。

かわいい孫のためだと思って。頼む。このとおり。

じゃないと俺今まで勤めていた会社をクビになってしまうんだ。」

「やっぱりそうか。」俺の思ったとおりだった。

短期間のうちにこれだけの家に住めるまでになるには

それ相当の収入が得られる仕事を成り立たせなくてはいけない。

こいつらオレオレ詐欺を生業として短期間に莫大な収入を得ていたんだ。

「そう?用意してくれるの?ありがとう。

あとで500万円取りに行くから。

と言っても俺、今足を怪我しててギプスはめているから外には出られなくてね・・・

それに500万円耳を揃えて払うまでは解放してくれなくて・・・

実は今怖い人達に監禁されてんだ。

違う人におばあちゃんの家まで取りに行ってもらうから・・・」

通話相手に対して不真面目な態度で嘘八百を並べたて

気楽に話しをしている男の様子を目の当たりにして

俺は怒りの感情が抑えることができなくなっていた。

無性に腹が立ってくるのがわかる。

こいつらにオレオレ詐欺を絶対止めさせないと

俺が此処に来た意味がなくなってしまう。

男は時たま笑い声を交えながら話しに夢中になっている。

俺は男の背後に気付かれないようにスゥ――ッと立ち、

話し中の男から携帯電話を強引に奪い取っていた。

男は突然、背後から伸びてきた手にびっくりしたらしく

「おぉ!!!」

と驚きの声をバランスを崩しながら発する。

「おばあちゃん、騙されたら駄目だ。今言ったことは真っ赤な嘘だから。

今話しをしていた奴はお婆ちゃんの孫でもなんでもない。

全くの垢の他人なんだ。

騙そうとしてやったことだから。」

と一方的に俺は相手へ向け早口で言ってしまうと

折りたたみの携帯電話を逆方向へと

力任せに折りたたむ。

「バキッ!!」

鈍い音とともに待ち受け画面が真っ暗になる。

「何するんだ。お前。俺の商売道具を。」

男は急に現れた俺の存在にあっけにとられ酷く驚いている。

「お前いったい誰だ。俺の家にどうやって入った?」

矢継ぎ早に次から次へと質問が飛んでくる。

「俺か?俺はお前らのような屑どもを成敗するためにやってきた

通りすがりの・・・

そうだな。言ってみりゃ世直し請負人ってところかな。」

「ふざけたこと言ってやがる。」

男は態勢を整え立ち上がろうとしたが椅子が滑って

バランスを崩し床に背中を打ち付ける形で体ごと落ちていった。

ガシャン!!

「いてぇ。」

椅子が倒れる大きな音のあとに男の痛がる姿があらわとなる。

「誰だ。お前。」

トイレに行っていた男が大きな音がしたことに驚いて戻ってくると俺に向け怒鳴った。

床に倒れた男に気付くと慌てて近寄って体を起こしにかかる。

「大丈夫っすか。アニキ。てめえ。アニキになんてことを。」

「悪党どもにも清らかな人情愛ってものがあるんだな。笑わせやがる。」

「何を。てめえ。」

倒れた男を起きあげると男は突然俺に向け殴りかかってくる。

俺は横に体をスライドして軽く避けると

男に右ストレートを繰り出し、それがヒットすると

男の腹の中心めがけ膝蹴りをあびせ

ひるんで前傾姿勢になっている隙に背中めがけ

両手をガッチリ結んだ拳を振りおろしていた。

「ううっ。」

崩れるように倒れていった男はそのまま気を失ってしまう。

「野郎。俺の大切な後輩を、よくもかわいがってくれたな。」

そう言うと床に倒れていた男は急いで立ち上がり戦う構えに入る。

「あなた。やめて。この人は私が連れてきたの。」

俺の背後で声がする。

今まで189cmある俺の背後で隠れるようにしていた

奥さんが姿を見せると堪らず夫に向け言い寄る。

「あゆみ。やっぱりお前がこれを仕組んでいたのか。いったいどういうつもりだ。」

どうやらこの男が亭主らしい。

「どうもこうもねえよ。奥さんはお前が変なことをしてねえか

心配になって俺のところに相談にしに来たんだ。

そしたら案の定、

とても世間には顔向け出来ねえロクでもねえようなことをお前らはしてたという訳だ。」

「これのどこが悪いんだ。

俺はな。こいつらをちゃんと養うために一生懸命働いてきたんだ。」

開き直るように男は言い返す。

「はあ?今お前、オレオレ詐欺のことを言ったんだよな?

そんなくだらねえことにプライドを持ってる奴を初めて見たぜ。

悪どいことをしてきた奴がそんな風に自信持って威張り散らすな。

馬鹿か。お前は。

そんなのちっとも一生懸命働いてきたことにはならねえんだよ。

一生懸命と言う言葉はな。汗水垂らしてきた人が使う言葉だ。

お前らみたいに人を騙してきた人間が使う言葉じゃねえ。」

「あなた・・・私に今まで黙ってそんな悪いことしてたの?」

悲しそうな目をして自分の亭主に向かって言う。

「お前そんなんでこの先、本当の幸せが掴めると本気で思ってんのか?」

今の俺にはとても感情を抑えることなど出来ず、思いつくまま怒鳴っていた。

「うるせえ。余計なお世話だ。お前の心配することじゃねえだろうが。」

「お前らのような悪党がこの世にのさばっている以上、

根絶させようとするなら

俺みたいなおせっかいな人間がどうしても必要になってくるんだ。

お前らのあぶく銭欲しさの為にどれだけのお年寄りが犠牲になってると思ってんだ。

俺はお前らのようないい加減な目的で

弱い人間から簡単に金をだまし取って世にのさばってる悪党たちが

一番許せない。むかつくんだよ。」

突然

俺の横を誰かが通り過ぎたか?と思った瞬間、

「パシンッ。」

平手で男の横面を強く引っぱたいたかと思うと小気味よい音が部屋中に響き渡っていた。

「あゆみ、お前、何しやがる。」

「そんな薄汚れた金で私達が喜ぶとでも思ったの?

人をだました金で何かしてくれっていつ私が頼んだ?

そんなことをしてお金を作ってくれたってちっとも私は嬉しくない。」

「あゆみ・・・」

「あの子と2人、いったいあなたは私達の将来のことを真剣に考えてくれたことあるの?」

「あるさ。あるからこそ

危ない橋を渡りながらもお前達のためにこうして金を稼いでいるんじゃないか。」

「いえ。全然考えていないわ。あなたは全然私達のことなど考えていない。

いつもあなたは自分のことばかり・・・

だってそうでしょ?

もしあなたが警察につかまって

刑務所に入れられたら私達はこの先どのようにして暮していったらいいの?

そこまで考えたことあるの?」

「だから何回も言うが俺は捕まらないようになんとか工夫して・・・」

「そんな保証どこにあるっていうの?

いつもいつもヒヤヒヤしながら働くことで

私達をこの先もずっと養っていけるっていう自信はあなたにはあるの?

そしてこれからも私はそんなあなたを捕まらないように必死になって祈って

表舞台から隠れて社会から後ろ指差され

ビクビクしながらこの子と2人暮らしていくことしかできないの?」

奥さんは涙ながらに必死になって旦那にむけて訴えかけていた。

その時、突然・・・

俺の後頭部に猛烈な痛みが走ったかと思うと

急に目の前が真っ暗となり

俺はそのまま暗闇の世界へと堕ちていった。

薄れゆく意識の中で俺が見たもの・・・

それはバットを持って俺を殴ったとされる3人目の男だった。

つづく

 

mig

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2020年02月05日

世直しドクター オレオレ詐欺編 第3話

 

病院の裏手へとまわりそこから距離にして約7km行った所に女性の家はあった。

名古屋の中心といえども一歩路地裏に入れば古い長屋が建ち並び

呑み屋街が競うように夜の街の彩りを飾って古ぼけた看板がひしめき合うのだが

このあたりは大胆な土地改造計画のもと

立ち退きによる区画整理がおこなわれ

それによって閑静な住宅が徐々に建つようになっていた。

土地開発というものが時代の波にのって一気に押し寄せて来ていて

最近になって目覚ましく進んでいると言っても過言ではなく

ここ10年で急速な勢いでスポーツ施設やらスーパーマーケットが建ち並び

総合施設を兼ね備えるまでに成長していた。

そこへ中堅クラスのサラリーマン家族がこぞって押し寄せるほどの人気となり

まさに近代化の波に乗った未来派志向のベッドタウンへと変貌していた。

その一角にあるひときわ立派な門構えの家の前までくると

女性は「この家です。」と指をさした。

家の全体像があらわとなる。

コンクリートで四方を固められた建物からは冷たさが伝わってきそうなほどひっそりしている。

隣りの車庫には、まるで金持ちの象徴だと言い張ってるように

一台のベンツが鎮座している。

たとえ街中にあるとはいえ、これだけの所にこれだけのものを

構えることができるとは豪勢なものである。

「奥さん、こちらに住んで長いんですか?」

金をかけていそうな家を見ながら俺は尋ねた。

「いえ、まだ1年なんです。

その前はここから10キロほど離れた古いアパートに住んでいたんです。

こちらに来る6年前に夫がリストラにあって、

4年間ほど仕事をせずギャンブルと酒浸りの毎日を送っていたんです。

その時は貯金も段々と少なくなり、

底をつく寸前までいったのですが、

そんな落ちぶれていく最中

ある時、街で昔からの知り合いである後輩に偶然にも出くわしたみたいで。

それがきっかけとなり一緒に仕事をし始めるようになって・・・

その人が今一緒に部屋に籠もって生活している人なんです。

それからというもの

今までの私達の錆びれていた生活が一変して

急に活気づいてきて

今では飛ぶ鳥を落とすまでになったというか。

どうにかここまでこぎつける事ができたんです。

だから本当の事言うと途中で場所は変わりはしましたが2年前から

3人で部屋にとじこもったままの状態を継続していたというか・・・

その間に金銭的に余裕が出来たこともあり

こちらに1年前に引っ越してくることができたわけなんです。

最初の頃は別に何も思わず、

地道に主人の後輩達と何か仕事を始めたんだなとしか思っていませんでした。

でも段々と日が経つにつれ、どうもおかしいと思うようになったんです。

というのも主人達は何か手に職を持つことのできる技術でもあるのかと言われれば

それはまったくないズブの素人でして。

とりたてて何か得意分野でもあるわけでもないし・・・

どうしてお金を稼いでいるんだろうと時間が経つたび不思議に思えてきて・・・

またここ最近になって色んな物を湯水のように使うようになってきて

あれも買い、これも買いと浪費が激しくなったものですから。

主人達が何か悪い事でもしていないか?と心配で。心配で。」

「・・・と言うことは今のことをするようになって1年。

わずか1年でこの街中にある一戸建てに住めるようになったということですか。」

「そうなんです。ほぼ無一文と言っていいくらいから始めたんです。

こんな短期間でここまでできるなんて主人もすごいなと当初は思ったものですが、

あまりにもお金が貯まっていくのに不自然なことが多くて、

よほどしている仕事に自信があるのかも知れませんが

パッパと色んなものを惜しげもなく買うようになってきたものですから・・・」

ここまで聞いてその派手な暮らしぶりに俺は驚いた。何かある。ない方がおかしい。

無表情のまま佇むコンクリートの塊が

あらゆるものを覆い隠しているように俺の目には映ってくる。

豪華な邸宅の背後には

全てを物語るように

怪しい暗雲が不気味なほど真っ黒く立ち込め

罠にはめようと俺達をせせらわらっているかのように見えた。

つづく

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2020年02月01日

世直しドクター オレオレ詐欺編 第2話

いそいでこの病院から出ようとした時である。

受付で何やら揉めているような声が・・・

「そういったことはこちらに来て頂いても困ります。警察に行って頂かないと。」

受付の女性事務員の声。彼女の前には20代いや10代後半といったところだろうか?

若い女性が赤ん坊を抱きながら言い争っている姿が。

近づいていって事務員に声をかける。

「どうかしたんですか?稲垣さん。」

「あっ。先生。いや、この人がね。

最近、旦那さんの様子がおかしいって言うんですよ。まったく困った話しです。」

「ん?患者さんが困っているなら話しを聞いてあげないと。」

「それがちがうんですよ。先生。」

「ちがうといいますと?どうちがうんですか?」

赤ん坊抱いた女性が俺の存在に気付くと

「先生ですか?助けてください。うちの主人の様子がどう考えてもおかしいんです。」

「ん?どこか痛がってみえるのですか?詳しくお話し下さい。」と俺が言う。

「先生。相手にしないでください。

この人の言ってることは病気の類ではないんです。こういうことは警察が・・・」

と事務員。

「だって警察に言っても事件が起きないと動いてくれないじゃないですか。

それにもう私には警察は呼べなくなっているし・・・」

女性がむきになって事務員につっかかる。

「あなたねえ。だからと言って病院に来ることはないでしょ。場所をわきまえなさい。

病院は病気を治すところですよ。その辺のところをよくわきまえてくれないと・・・

どんな人でも来ていいとは限らないんです。それに・・・」

事務員が続けて言おうとするのだが俺が手で抑え遮(さえぎ)る。

「いいから気にせず私に話してみてください。」

「先生・・・」事務員ががっかりした様子になり不満気にしている。

「家の一室を借りて朝の9時から夜10時くらいまでなんですが、主人を含め

3人の男の人が・・・といっても主人以外の2人の男の人は主人の昔からの後輩なんですが

部屋の中で何かをやっているようなんです。」

「と言いますと?」

「最近は部屋に鍵をして私には決して中には入れてくれないんです。

朝から晩になるまで部屋にこもりっきりで。」

「食事はどうしているんです?」

「私が最初のうちは届けてはいたんですが、

おいおい話しますがとても心配になり私が警察に通報してしまってから

絶対、私には一歩たりとも部屋には入れてくれなくなり

今では近くのコンビニに行って3人が交代で食事を買ってきています。

なにをやっているの?と聞いても、お前には関係ないと言うだけで全く相手にしてくれず。

唯一、それぞれがトイレに行く時以外、部屋にこもったままで。

ずっと3人一緒なんですよ。

そのうちの一人の人は時々外出してどこかに行ってるみたいですが

それでも30分もしたらまたすぐ戻ってきて部屋の中に閉じこもっているんです。

全く何をしているのか?私にはわからず・・・」

「そんなのどこにでもあるでしょ。男の人が2,3人集まることぐらい。

退屈してるんですよ。

仲間と集まることによってストレス発散に何かとなるし騒ぎたくもなるもんです。

そのストレスを貯める原因はいったいどこから来てるのか知りませんがね・・・

麻雀でもやってんじゃないですか?麻雀だって少なくとも3人は必要なんだから。

ちょっと心配しすぎじゃないですか?あなた。子供じゃあるまいし。」

事務員が呆れながら女性に嫌みったらしく言う。

「麻雀では絶対ないです。だって牌を混ぜる時のジャラジャラという音が聞こえてきませんし、

日中からいつも部屋にいるのに、どうしてあんなにお金があるのか・・・?」

「と言いますと?」

「私、見てしまったんです。さっき最初の頃は私が部屋へ食事を届けていたと

言いましたが、

その時に机の上に無造作に帯に巻かれた一万円札の束がいくつも積み上げられていたのを。」

「ドラッグという線はないですか?売人をやってるとか。」

俺は思いつくなり言いながら女性の両腕を何気なく見る。注射痕はないようだ。

「いえ。違います。それはないです。」

「どうしてそう言えるんですか?」

「私も同じことを考え、もしかしたらドラッグに手を出してるのかも?と考えてみたんです。

心配になりそのことを警察に話し、助けてもらいたくて通報しました。

ドラッグに手を染めているようであれば

とても私の力ではどうにもならないところまできていると思いましたので。

もしそうならしっかりしたところで更生させないといけないということは知っていましたから。

そこで見兼ねて1ヶ月前になりますが警察の方が家まで来てくれて

主人達の部屋の中にある所持品を調べ頭髪のサンプルまで採取して検査してくれたんです。」

「そしたら?」

「何も出ず。陰性でした。今思えばそれが私の軽率な行動だったかもしれません。

主人を心配するあまり悪い仲間から引き離したくて警察に通報したりして。

そういえば、後から思い出したことなんですが

うちの夫はドラッグやら覚せい剤についてはすごく抵抗ある人でして

以前一回だけやった時にすごく拒絶反応を起こしたことがあったんです。

懲りもせずまた手をつけたのかと私はその時は疑いましたが

警察の方が新たに調べて頂いたとおり

何も使っていなかったという証拠が出た以上

あのたったの人生最初で最後の一回で、主人はドラッグを本当に止めていたんだと思います。

ましてや売人としてそれを取り扱うことなど絶対するはずないと・・・

私が主人をもう少し信用してあげていればよかったのですが。」

かえって自分達が疑われたことで

主人達はすごく怒こり警察を名誉棄損で訴えるってことにまでなってしまって。

でもその時に私が必死になって主人達に「それだけは止めて。」と謝ったものですから、

なんとかそれはくい止めてくれたんです。

ただ・・・」

「ただ?」

「私が一番気になるのは頻繁に色んなところに電話してるみたいなんです。

一人の男の人の声がひっきりなしに誰かに話しているように聞こえ・・・

かと思うと主人の声が時々聞こえてきて電話に変わってみたり、

最後はもう一人の人に変わってみたりと

次々と話す人を変えていたりもするんです。」

「何を話しているのかわかります?」

「いいえ。そこまでは・・・壁一枚挟んでいるものですから

詳しいことまではよく聞こえないんです。」

「そのことは警察に話しました?」

「当時ドラッグをやっているという考えが先に立って

警察の方に話すのにそこまで頭がまわらなかったものですから話していません。」

「そうですか・・・」

「私このままじゃ怖いんです。

主人が何かドラッグではない悪い事に段々と手を出していくような気がして。

この前の一件以来、警察に相談しに行っても「大丈夫」と言うだけで

出向いてもくれないし私を「またか」という感じで全然相手にしてくれなくなりました。

私・・・この先どうしたらいいか?わからなくなってしまって・・・」

女性はオロオロしながら視線を泳がすと顔を塞ぎ泣き始めた。

事務員は迷惑そうに「早く出て行ってくれないかしら。こんなことに私達を巻き込むなんて。」

と言わんばかりに渋い顔になっている。

おれにはピンとくるものがあった。このままにはしておけない。

「とにかくここはそんなお悩み相談といった窓口ではありませんからね。どこか違うところへ・・・」

と事務員が言った途中で俺が

「わかりました。私が今からお宅に伺いましょう。案内してもらえますか?」

隣りで聞いていた事務員の目がびっくりしたらしく一段と大きくなったかと思うと俺に向け

「先生。駄目ですよ。そんなことしたら・・・

いちいち相手になってこんな人につきあっていたら、いくつ体があっても足りません。

ここはれっきとした総合病院なんですから。だいいち私達は、なんでも屋ではないんです。

警察に任せておけばいいんです。そういったことは。

警察が何もやってくれないのなら私達はそれよりもっとこの人に関して言えば部外者なんですよ。

当直明けで先生お疲れでしょうから、早くご自宅に戻り就寝なさって下さい。

ここはもういいですから。私がなんとかしますので。」

「こういうの見ると私はほっとけないんです。

これは私ひとりが引き受けますから。

だったら問題ないでしょ?

決して病院には迷惑かけたりしませんから。

ただしこのことを病院の方達には黙っておいてくださいね。

私と稲垣さんだけの秘密ということにして。」

「ありがとうございます。先生。」

俺の言葉を聞くなり赤ん坊抱いた女性の顔が急に一気に喜びにあふれる。

「何を言っているんですか。あなたは。調子にのっているんじゃありません。

先生は冗談で、おっしゃっているんであって・・・」

事務員がまっすぐ女性を見て諭すように言うが・・・

「じゃあ行きましょうか。」と俺が言うと

「あの・・・ちょっと先生。待ってください・・・

それにあなた・・・診察券お忘れですよ。

ちょっとあなた。それに先生まで・・・

先生、変なことに首を突っ込まないでください。

先生・・・悪いこと言いませんから戻ってきてください。あとでどうなっても私は知りませんよ。

ちょっと先生ったら。もう・・・」

事務員の引き止める声を背中で受け止め

俺はその女性とともに男達がいるという家へと向かったのであった。

つづく

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